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所を記入して、計測した結果を記録する。さらに、これに基づいて発掘した出火範囲の平面図・立面図・断面図等を作成する。

(五) 焼損状況の検討

1] 焼け方の検討

焼損状況から特定された出火範囲内に存在する火源、あるいは出火に結びつく焼損物件が存在していれば、これらの物件が出火につながる発火源となりうるか検討する。

2] 燃え方の検討

復元された出火範囲内の焼損状況から、どのような経路をたどって燃え広がったかを個々の物件の焼け方のみで判断することを避け、全体の視野のなかで検討する。

 

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写真2 手による慎重な発掘

 

(六) 出火箇所の判定

出火箇所を明らかにするには、出火範囲を限定した後に現場を発掘し、復元するまでの過程において見分した焼損状況、関係者の発見状況や出場時の見分状況を検討し、燃え広がり方を踏まえて考察する。

1] 焼損状況

復元までに見分した焼損状況は、明らかな客観的事実であり、出火箇所を判定するうえでの重要な必要要件である。しかし、焼損状況によって得られた自己判断は見分者の主観であって、これに客観性を持たせなければならない。

2] 発見状況

火災の発見者が発火源からの燃え上がりや燃え広がりの状況を早期に目撃し、その供述に信憑性があれば、出火箇所の判定はし易い。しかし、発見者が見た炎の位置が必ずしも出火箇所であるとは限らず、目撃は瞬間的な記憶に残った供述が多い。

出火範囲の限定時に検討した発見状況と、復元された焼損物件に残されている焼け方とを考え合わせて燃焼していた範囲を限定する。

(七) 火源の検討

出火箇所の状況証拠から、発火源となりうるもの全てについて、その各々が持っている着火エネルギーによって、火災状態に発展する可能性を備えているかを、以下の留意点に注意しながら検討する。

・ 出火に至った関連事項を筋道をたてて考察する。

・ 発火源と着火物が立証された場合、全体の延焼経路につながる立ち上がりも合わせて検討する。

・ 鑑識・鑑定の必要がある場合には、この時点で必要な物件について位置の計測を行って採取する。

・ 現場にある物件の価値判断や、出火の可能性について関係機関と協議する場合、関係者の面前においては絶対に行ってはならない。

(八) 出火原因の判定

出火原因の判定は、現場の調査を進めてきた結果、明らかにされた証拠から出火箇所と発火源・経過・着火物を決定するものである。焼損状況から考察される客観的事実、関係者の証言、調査に従事した調査員の意見等すべての要素を慎重に分析し、取捨選択して科学的妥当性に基づいた出火原因を現場において判定する。

(九) 警察機関との協議

協議は消防、警察関係者と相互に納得いくまで意見調整して、現場調査時の最終結論とする。

 

 

 

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