一 現場における火災原因調査の留意点
火災により物の原型が失なわれたり、焼損した残存物から火災原因調査を進めるためには、火災現場に残されたそれぞれの物から価値判断をして、原因を導き出すことになる。
これには、極めて高度な技術と経験が要求される。現場における発掘調査や物件鑑識は、進行を誤ると二度とやり直しができないため、火災原因調査の手順や基本的な留意事項を十分に理解しておくことが大切である。
火災原因調査は、出火原因、延焼拡大原因、死傷者発生原因などを調査し、その結果を出火防止、延焼拡大防止、人命危険防止等の火災予防を中心とする消防行政に反映させることを目的としている。
消防行政の根拠資料とするためには、出火原因のみならず避難障害、防火区画外への延焼、消防用設備等の不作動等の原因などを明らかにする必要がある。特に、出火原因については、理論的考察を加えながらの徹底した究明が求められる。