日本財団 図書館


火災調査要領

東京消防庁予防部調査課

 

はじめに

消防の行う火災調査は、消防行政の原点といわれており、消防行政施策の多くの部分は火災調査結果から得られた資料に裏付けされている。

消防は自治体消防として発足して以来、五〇年を経過したが、この間、調査及び鑑識の技術は向上し、調査員が火災現場から収集した情報は、火災調査書類並びに統計等の資料として、火災予防や消防行政運営、さらには警防活動上の資料として必要不可欠なデータとなっている。

 

表1 火災原因調査の進め方

002-1.gif

 

一 現場における火災原因調査の留意点

火災により物の原型が失なわれたり、焼損した残存物から火災原因調査を進めるためには、火災現場に残されたそれぞれの物から価値判断をして、原因を導き出すことになる。

これには、極めて高度な技術と経験が要求される。現場における発掘調査や物件鑑識は、進行を誤ると二度とやり直しができないため、火災原因調査の手順や基本的な留意事項を十分に理解しておくことが大切である。

火災原因調査は、出火原因、延焼拡大原因、死傷者発生原因などを調査し、その結果を出火防止、延焼拡大防止、人命危険防止等の火災予防を中心とする消防行政に反映させることを目的としている。

消防行政の根拠資料とするためには、出火原因のみならず避難障害、防火区画外への延焼、消防用設備等の不作動等の原因などを明らかにする必要がある。特に、出火原因については、理論的考察を加えながらの徹底した究明が求められる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION