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東浅井郡消防本部(滋賀県)

 

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当本部は県の東北部に位置し、浅井、虎姫、湖北、びわの四町で構成され、日本一の琵琶湖に面し農業を中心とする集落が点在する歴史と文化遺産の宝庫でもある。

古くから交通の要衝であったため、戦国の世に歴史の舞台として華々しく登場し、浅井・朝倉連合軍と織田・徳川連合軍が激戦を繰り広げた「姉川の古戦場」や「浅井長政」と「お布ご寮人」の悲話を伝える「小谷城址」を始め、往時の歴史を今にとどめる史跡が点在する山紫水明の地である。

湖中には、信仰の島「竹生島」が浮かび、東には滋賀県一の高峰「伊吹山」の秀麗な姿を望むことができる。

消防本部は昭和四七年四月一日二八名で発足、順次増強され、現在は五五名の職員、一署二出張所で管内面積一四三km2に住む約三七、○○○人の安全を日夜守っている。

 

・ 旺盛なる職員の志気

小規模消防本部であるが、救助指導会では、例年殆ど出場者全員が東近畿地区大会まで駒を進めており、平成八年度は水上の部で、昨年度は、陸上の部で全国大会に出場し入賞を果たした。消防機器の改良においても、過去六回にわたり全国レベルで入選、消防職員意見発表会においても、常に県下で上位入選している。中でも昭和六〇年・六一年度と連続して全国大会に出場し、六一年度には最優秀の栄冠を射止めている。

 

・ ファイヤー・セキュリティ事業

自ら防火管理に精通することで女性特有の繊細な視野で職場での啓蒙活動を実施願うことを目的に郡防火保安協会との共催により、管内事業所から推薦された女子社員対象のファイヤー・セキュリティ・レディース事業を実施している。平成九年度には第二期生二〇名が修了しているが、研修会や普通救命講習の受講、防火チラシの配布等積極的な活動により、消防本部の各種啓発活動に協賛願うとともに、各職場での防火思想の向上に役立つと好評を得ている。

 

・ 高齢者・幼児への防火PR

職員が丹精込めた鉢植えの草花をみやげに、年一回独居老人家庭を防火訪問(写真)し、世間話を交えながら高齢者世帯の住宅防火の推進に努めている。また、毎年秋の火災予防運動には幼年消防クラブ員全員が一堂に会し、「ちびっ子防火の集い」を実施している。職員の手造り寸劇、落書きやコマ回しなど楽しく遊びながら火の用心の大切さを訴えている。

 

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・ 人気キャラクター消防車登場

東出張所には手造り消防車が登場し子供達の人気を集めている。これは春の火災予防運動に合わせて職員が手造りしたもので、子供達の大好きなテレビアニメのキャラクターが主役になって「火の用心」を呼びかけているため子供達に大好評で、あまりの人気に職員もニンマリ。昨年も廃材を利用して、幼年消防クラブ員が作成したミニ纏(ほのお誌にも投稿)も大変な人気になり、多くの消防関係誌に紹介された。消防の存在をいかにアピールするかを念頭に、毎月町の広報誌に消防関連の記事を提供し、地元の新聞にも消防本部の記事がよく掲載されるなど、広報がしっかり根づいている。

 

・ 伝統の中に人の育成

田中消防長は、「消防機器の改良や意見発表会を職員研修の場としてとらえ、職員がやる気になっている。先輩から後輩に伝統が受け継がれて人材が育っており、スタッフには恵まれている。職員には常に、基本を重視することと普段の積重ねの中に新鮮な気持ちで挑戦することの大切さを話している。人の育成をどう進めるか、年二回の面談を通して職員の意見を聞きそれを大事にしている。住民から『消防がしっかりやっているから安心だ』と信頼される組織でありたい」と、にこやかに語ったのが印象的であった。

(飯塚文治)

 

 

 

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