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後部席左側男性(意識清明、前顎部切傷)は、右足が助手席と後部座席に挟まれており、更に骨盤骨折の疑いがあるため、後部トランクドアからの救出は困難であると判断。油圧スプレッダーで、後部左側ドアの開放、並びに助手席と後部座席の間を拡張し挟まれていた右足を開放し救出。(C病院収容、診察の結果骨盤骨折)助手席は、事故の衝撃による破損が最も強く原形をとどめていなかった。助手席男性(頭部剥皮創及び下顎挫創、脈・呼吸なし、瞳孔散大)は、胸部及び両下腿部を座席とダッシュパネルに挟まれており、油圧スプレッダーを使用し両下腿部を開放した。次に、センターピラー部を油圧カッターで切断した後、ピラー付け根部分にワイヤーロープを巻きつけ可搬式ウィンチを使い開放し救出した。(D病院収容、診断の結果二時一〇分死亡確認)

 

おわりに

本事例の救助活動にあたり、狭い車内で最先端の救助、救急資器材をフルに活用し活動したが、若い尊い命を救うことができずやり切れない結果となったが、今後一層の努力をし有効かつ迅速な救助活動を実施するため、救急、救助隊が一丸となり日々研鑽し市民の信託に万全を期し応えていきたい。

(内田 喜一)

 

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予防・広報

安全でやすらぎのある生活をめざして

仙南地域広域行政事務組合消防本部(宮城)

 

はじめに

当消防本部は宮城県の最南部に位置し、西部は蔵王連峰によって山形県に、南部は阿武隈山地によって福島県に、北部は仙台市に接し、刈田・柴田・伊具三郡の二市七町で構成され、人口は一九八、○○○余人、総面積一、五五一・四四km2で、古くは伊達藩領地として伊達家臣により政治・行政が行われ、政治的・文化的にも相互に深い依存関係を保ちながら栄えてきた。

河川は東部を流れる阿武隈川と蔵王連峰から流れる白石川が平野部を潤し、北部には仙台市の上水道の源となる釜房湖をもつ碁石川が流れている。また、刈田郡の七ヶ宿町には総貯水量一億九〇〇万m2の多目的ダムを有し、宮城県最大の水瓶として日量約六〇万m3の水道用水が供給されている。

気候は比較的温暖な気象条件にあるが、平野部と山間部では、気温・降雨量などにかなりの差がある。

平成九年の火災発生件数は、一一〇件でその内建物火災が六二件、林野火災が二二件で、合わせて発生件数の七割近くを占め、七名の死者と多額の損害を生じた。

当本部は、一本部・四署・四出張所・一分遣所・一派出所で地域の要望に応えながら、渡辺消防長以下一八二人の職員で、住民の安全でやすらぎのある生活を確保するため、防火意識の高揚とその体制づくりに努めている。

 

一 防火クラブ等による予防活動

家庭及び地域における防火思想の普及と高揚を図るとともに、火災の絶滅を期すため「仙南地域幼少年婦人防火委員会」を昭和五四年一一月に設立、幼年消防クラブ・少年消防クラブ・婦人防火クラブ等、組織の拡大を図っている。

幼年消防クラブは、四六クラブ・二、七六八人で組織され、幼年消防大会・母と子の防火のつどいに参加し、防火のちかいを法被姿で愛らしく宣誓し、アトラクションでは保護者は勿論、婦人防火クラブ員等来場者に遊戯と合唱を披露し大喝采を受けている。また、春秋の火災予防運動時には、町内を「火の用

 

 

 

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