接地工事は、変圧器の高圧側と低圧側との混触による危険を防ぐため低圧側の巻線に施されるもので、その接地低抗値は、一般に混触事故が発生した場合に低圧側に一五〇V以上の電圧が発生しないように計算した低抗値とされている。また、C種接地工事は三〇〇Vを超える低圧用の機器の外箱や鉄台に施されるもので、その接地抵抗値は、一〇Ω以下、D種接地工事は、三〇〇V以下の低圧用機器の外箱や鉄台に施されるもので、その接地低抗値は一〇〇Ω以下とされている。
なお、漏電時に電気機械器具の金属ケースに生ずる対地電圧は、一般に保護接地低抗値と電路のB種接地抵抗値の案分比によって決定されるため、単に電気機械器具の金属ケースを一〇〇Ω以下で接地しても、保護接地の目的が達成されるものではない。この保護接地の確実な実施と漏電遮断器の設置を組み合わせることにより、確実な地絡保護が行える。
(二) 電気火災の防止の例
1] 漏電遮断器の使用(五(一)2]参照)
2] 電気製品の適正な使用
・ 電気機器を使用中に停電があったときには、電源の消し忘れに注意する。
・ 電気ストーブやこたつなどの消し忘れをしない。
・ 消費電力の大きい機器は、配線等も考えて設置する。
3] コードの適正な使用
・ 各電気機器の消費電力や用途にあったコードを使用しないと、コード自体の過熱や断線の危険がある。
・ コードをステープルや釘などで固定すると異常な力が加わり、中の電線が傷ついたり、感電やショートの原因になる恐れがある。
・ 洗濯機やテレビの後ろにあるコードは、機器の下敷きになったり、壁との間に挟まれやすいが、これも圧力のかからないようにする。
4] 日常の点検
・ コンセントに差し込まれている差し込みプラグは、ときどき点検し、「ほこりなどが付着していないか」や「黒ずんでいるなどの異常がないか」を確認すると良い。
・ 一つのコンセントに、いくつもの差し込みプラグを接続すると過熱の原因になるので、機器が増えた場合はコンセントも増やすようにする(たこ足配線の防止)。
・ コンセントに差し込みプラグがしっかり入っていないと、発熱したり、ショートの原因となる恐れがあるので、完全に差し込むようにする。
・ ネジ止め式(最近は少ない)の差し込みプラグはネジが緩んでいると、接続部が熱をもったり、ショートする危険がある。
・ 漏電遮断器は、ときどきテストボタンを押して故障していないか点検すると良い。