1] 人体通過電流
感電は電撃ともいわれ、一般に人体に電流が流れることによって発生する。そして、電撃の程度は単に電流を感知する程度の軽いものから、苦痛を伴うショック、さらには筋肉の硬直、心室細動による死亡など種々の症状を呈する。感電した場合の危険性は、おもに次の因子によって定まる。
・ 通電電流の大きさ(人体に流れた電流の大きさ)
・ 通電時間(電流が人体に流れていた時間)および電撃印加位相(心周期のどの位相で通電したか)
・ 通電経路電流が人体のどこを流れたか)
・ 電源の種類(直流か交流か、周波数など)
このほか、間接的には、人体抵抗や電圧の大きさが関係する。
電撃の危険性は主に、人体に流れた電流の大きさと通電時間に関係する。その関係についての様々な実験結果を検討して、IEC規格60479-1第三版には図8のように示されている。これによれば、電撃の危険性をa、b、cの三本の特性曲線によって、図中に示すような四つの領域に分類している。なお、大きな通電電流により心筋の膨脹、縮小が止まり、心筋が細かく振動しはじめ死亡するおそれがあるが、この電流を心室細動電流という。(図8参照)
(注) 特性曲線cについてc1〜c2の領域では、心室細動の可能性が約5%以下、c2〜c3の領域では心室細動の可能性が約50%以下、c3を越える領域では、心室細動の可能性が50%を超過するとされている。
2] 誘導現象
電界中に大地から絶縁された導体が置かれると、その導体に重荷が誘導され電圧が発生する(この現象を静電誘導という)。また、変化する磁界中に導体が置かれると、その導体に起電力が誘導される(この現象を電磁誘導という)。誘導現象を利用して、いろいろな電気機器が開発されているが、以下のように、逆にこの現象が災害の原因になることがある。
a 静電誘導
送電線や変電所母線の周辺は、一般に高電界が発生している。したがって、こ