日本財団 図書館


電気に関する安全と災害

東京電力株式会社営業部

技術サービスグループマネージャー 渡辺 靖

 

はじめに

電気は、安全、便利、クリーンなエネルギーとして我々の生活を支えているが、その取扱いを間違えると感電や火災などの電気災害を発生させるおそれもある。

また、現代の生活に電気は必要不可欠であることから、電気設備は発電所から電気を使用する家庭や工場などいたる所に施設されており、消防活動においても電気に関する知識が求められている。

ここでは、電気災害の現状、生活圏にネットワーク状に広がる配電設備と家庭を中心とした電気設備の概要、電気災害発生のメカニズムとその防止対策の例について述べる。

 

一 電気災害の分類

電気災害については、表1にあるように人身災害と設備災害に大別されるが、一般には感電と火災を主体に電気災害といわれていることが多い。(表1参照)

 

表-1

002-1.gif

 

二 電気災害の発生状況

(一) 感電災害

一] 電圧区分

電気設備の技術基準第二条では電圧を低圧・高圧・特別高圧に区分している。

低圧とは、直流では七五〇V以下、交流では六〇〇V以下のもの、高圧とは直流では七五〇Vを、交流では六〇〇Vを超え七、〇○○V以下のもの、特別高圧とは七、○○○Vを超えるものである。

2] 感電災害

表2は、最近五年間に我が国の産業職場で発生した感電死亡件数を電圧別に示したものであり、全体の発生件数のうち約四三%が低圧によるものとなっている。低圧の電気による感電は、電気についての知識をもっている者でさえもこれによって死亡しており、単に電圧が低いということのみで低圧電気設備を安易に考えてはならないことがわかる。(表2参照)

 

表-2 電圧区分別感電災害

002-2.gif

注) 高電圧は高圧と特別電圧をあわせたものである。

 

(二) 電気が原因の火災

ここでいう電気が原因の火災とは、電気を便用する器具、装置から出火した火災をいう。(図1参照)

 

図-1

002-3.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION