南宇和消防事務組合消防本部は愛媛県の最南端に位置し、内海村御荘町・城辺町・一本松町・西海町・の四町一村で構成され、古くは比叡山延暦寺の荘園であったことから"御荘"と呼ばれたところである。地形は平地が少なく、周囲を山と海に囲まれた風光明媚で人情豊かな土地柄である。北部は六〇〇〜七〇〇mの山系で、東部は高知県に接し、一、〇〇〇mを超える篠山山系のアケボノツツジは有名で、県立自然公園に指定されている。また、西・南部は宇和海に面したリアス式海岸で、色あざやかなサンゴ類と熱帯魚が群れ、わが国ではじめて海中公園に指定された「宇和海海中公園」がある。
管内面積は二三九・四三km2、人口三一、六五三人で「安全で健やかな町づくり」が推進されている。
消防本部の発足は昭和五〇年四月一日で、現在一本部一署・四四人の職員と、五団本部・四四分団・一女子火防隊の一、一九四人で、住民の負託に応えるべく消防・防災体制の充実強化を図っている。
・ 防火意識は小さいころから!
"小さいころから防火の知識などを高め、一人でも多くの人が火災予防を行えるように"と、昭和五七年から県下で初めて授業の一貫として、防火・防災及び応急救護に関する指導を署員が行っている。管内にある二二の小学校のうち、少年消防クラブ員が在籍している五校の五・六年生(三校は全員・二校はクラブ員のみ)を対象に、クラブ員と担当の先生とが計画して行う自主活動と、署員が定めた内容に従って活動する定期活動とを、学級活動で行っている。これにより、クラブ員の火遊びによる火災もなく、昭和五八年には「全国優良消防少年クラブ」として表彰された。
・ 防災機関が一体!
台風襲来による被害が多く、また山間部や半島を有しているため、最遠地への緊急走行に約五〇分を要するという地域特性を踏まえ、四町一村の消防団で構成する「南宇和郡消防団連合会」の事務局を消防本部に置き、各町村及び消防本部との連携体制を強化し、増加する災害に対処している。
・ 最大の効果を!
限られた人員で地域住民の安全と負託に応えるために、消防装備の充実・強化及び職員の能力アップを図っている。
週四〇時間で三部制の勤務体制をとり「組織は人なり」を格言に、消防大学校をはじめ研修機関に毎年一〇数人を派遣し、救急救命士の国家資格取得、救助業務に必要な特殊技能資格の取得など組織を挙げて職員の能力アップを図っている。また、署内教育訓練についても積極的に取組み、昭和六二年の初出場以来、四国地区救助技術指導会で常に上位を占めている。
最後に上村消防長は、「和・協調を尊び、現在で満足することなく、今日より以上のものを目指して欲しい。」と力強く語られた。
(野崎 俊幸)