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昭和六三年「北海道にある、元気まちしらおい」をスローガンにCI運動に取り組み、町民と行政が協同して町づくりを進め、地方から中央への情報発信を行っている。

当消防本部は昭和四六年六月一日に設置され、昭和五五年には登別市と接している地区に出張所を開設し、現在一本部一署・一出張所、五二人の署員で町民二二、七〇〇人の生命を守っている。救急出動件数は年々増加傾向にあり、平成七年は六九六件、平成八年は七五二件、平成九年は七六三件で、今後も増加していくものと予想される。

 

一 救急の高度化を日指して

平成三年に救急救命士法の制定と救急隊員の行なう応急処置の基準の改正により、救急II課程隊員の養成を開始し、現在標準課程隊員は二五人となり、昨年度から救急救命士の養成のために一人を中央研修所に派遣し、今後順次計画的に派遣して十人の救急救命士を養成する予定である。救急車については、平成七・八年度に各一台ずつ高規格救急車(トヨタハイメディック)に更新し、本署と出張所に配備。既に配置されている二B型救急車と三台で運用し、年々増加する救急出動に対応するため救急隊員の専任化・救急救命士の運用開始のための事前準備等を踏まえ、白老町の救急業務高度化を進めている。

 

二 救急普及活動について

救急隊員の高度化を図る一方、住民と救急隊の連携が重視されていることから、平成五年に自治省消防庁が「救急普及啓発活動の推進に関する実施要綱」が制定、当消防本部もこの要綱に沿って関係規定を整備、住民に対する指導の方向性を一本化し、町民・各事業所等に呼びかけ救急救命講習会を実施した結果、最初は付き合い程度に参加していた人達も、最近は積極的に参加するようになり、小学校の学級レクリエーションの中でも救急講習の依頼を実施している。講習の中では、特に小さな子供のいる母親とお年寄りは真剣に受講されている。今後は仕事で忙しい父親への普及を図るとともに、町民全員が救急講習を受講し救命処置を習得するよう計画を進め、どのような救急現場でも家族や住民が応急手当を実施し、救急隊に引き継ぐ体制を作り、救命率を向上するため講習会を随時開催できる体制を整備する。

昨年、救急普及活動の成果の現れとなった事例が発生した。お年寄りが食事中誤嚥(ごえん)により仮死状態となったため、通信員が家族に背部叩打法と掃除機による吸引を指示。家族がこれらの処置を的確に行い、さらに習得していた心肺蘇生法を実施して救急隊に引継がれたため、病院に収容後意識等も回復し完全社会復帰することができた。この事例を稀有な事例とするのではなく、家族の命を救うのは「バイスタンダー」である家族だということを講習会で訴えていきたいと思う。

また、当町は高齢者の比率が高く独居老人世帯が多いため、平成九年中の急病出動件数の五二%が高齢者からの要請であった。町で行っている在宅ケアと個人病院が行っている在宅ケアがあるが、今後の高齢者対策について住民・行政・病院・消防の四者が一体となり、この問題に取り組まなければならない。

当町には消防協力団体として、幼稚園児を対象とした幼児消防クラブ六団体と、町内会単位で組織している少年消防クラブ三団体、婦人防火クラブ一一団体、高齢者が主役のシルバー防火クラブ一団体の計二一団体がある。

 

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婦人防火クラブに対しては防火意識の高揚を図るとともに、応急手当の技術を身に付けてもらい、家庭内や家の付近で救急があった時に落ち着いて対応ができるように多くのクラブ員が救急救命講習会へ積極的に参加している。

 

 

 

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