日本財団 図書館


北・南側の山林が延焼中で、建物は火災後期の状態であったが、折りからの北西の風により山林の延焼速度が速く火の勢いも強く、南東側へ延焼拡大中であった。

延焼拡大の恐れがあるため、緒川村の全消防団員及び非番職員に対し出場命令をする。

また、状況確認と空中消火の必要から茨城県の防災ヘリコプターの応援要請をした。

付近に水利が無いため、ポンプ車による遠距離中継送水による山林の消火活動を実施する。主に民家のある方面への延焼阻止に努めたが火の勢いが衰えない状況であった。

到着した茨城県防災ヘリ、千葉市消防局及び横浜市消防局の消防ヘリによる上空からの散水並びに消防職・団員等による人海戦術で背負い式消火水のうで消火活動を実施したが、日没になり山林での消火作業を中断し、その後も夜を徹して住宅へ延焼防止に重点をおき防禦活動を行った。

二日目は日の出と同時に茨城県防災ヘリ及び陸上自衛隊の大型ヘリにより上空からの散水及び消防職・団員による人海戦術での消火活動をさらに実施した。

地上隊は北側への延焼防止のためポンプの遠距離中継送水による消火活動と、背負い式消火水のうによる消火活動が実施された。地上隊による消火活動と上空からの消火活動を効率よく実施するため、消防無線と航空無線により連絡を密にし、上空から見て白煙により視界が悪い場所は地上部隊による消火を行い、視界の良い場所や火炎の確認される部分に空中からの消火を実施した。

上空からの散水及び消防職・団員等による人海戦術での消火活動は休みなく続けられ、同日一六時三〇分鎮圧に至った。

その後も空陸の両面からの消火活動を実施した結果、一八時五〇分鎮火となり警戒活動に入った。

 

011-1.gif

 

おわりに

最近の山林の状況は、手入れが行き届かず下草が繁茂し倒木もそのまま朽ち果てた状態のため、一旦火災が発生すると延焼速度が速く、消火活動の入山も困難であり、倒木や堆積物の多い地中火の消火は大量の注水と労力を要することを痛切に感じた。

この火災では、現場とヘリと現場指揮本部との連絡体制がよくとられ、他の住宅等への延焼危険があったが、空中からの消火と地上部隊の消火の連携によりこの程度で延焼阻止ができたものと思う。

当組合消防発足以来の大規模な林野火災となったが、県の指導や各関係機関との連携により有効的確な消防活動ができたことに感謝すると共に、この火災のように水利条件の悪い山林内では、ヘリコプターによる空中消火が有効であることを改めて感じたところである。

 

 

救急

北海道にある、元気まちしらおい

白老町消防本部(北海道)

 

はじめに

011-2.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION