火災
大規模林野火災
大宮地方広域組合消防本部(茨城)
はじめに
当消防本部は茨城県北西部に位置し、県都水戸市から北へ約二〇kmの距離にあり東に久慈川、西に那珂川が流れ風光明媚な所であり、大宮町・山方町・美和町・緒川村・御前山村の五ヶ町村で構成する組合消防である。
圏域は東西約二〇?q、南北約二五?qで総面積三四八・三八km2、人口五〇、六〇〇人の山間地域で圏域の約六〇%を山林が占めており、気候は内陸型で冬は北西の風が強い所である。
消防体制は一本部・二署で職員七四人、各町村の消防団一、三五六人で住民の安全を確保すべく防災の任に当たっている。
ここに紹介する火災は、圏域の西側の栃木県境に近い緒川村内で発生した林野火災である。
しばらくの間降雨がなく乾燥注意報発令中の山林火災で強風に煽られ延焼拡大したため、県の防災ヘリコプターを始め、千葉市・横浜市・自衛隊のヘリコプターの応援を要請し、二〇時間におよぶ防禦活動を行った火災である。
一 火災概要
(一) 出火日時 平成九年三月一二日(水) 一二時二〇分頃
(二) 出火場所 那珂郡緒川村入本郷
(三) 覚知時間 平成九年三月一二日 一二時五〇分(一一九番)
(四) 鎮圧時間 平成九年三月一三日 一六時三〇分
(五) 鎮火時分 平成九年三月一三日 一八時五〇分
(六) 気象状況 三月一二日一二時 天候晴、気温一一℃、湿度一五%、風向北西、風速四m
(七) 損害状況
焼損面積
・ 山林 四六・二二ha
・ 建物 七棟 三〇七m2 住宅 木造二階一棟 物置 木造平屋六棟
・ 損害額 九三、六七五、〇〇〇円
(八) 出動状況
・ 消防関係機関 車両一〇七台・ヘリ四機 八九四人
・ その他の機関 車両二三台・ヘリ四機 二四四人
二 出火場所の概要
現場である緒川村入本郷は県道と林道に挟まれた山林地帯で、林道や県道ぞいに民家が点在している地域である。
山林は標高二〇〇m程度の山並みであり、杉林や雑木林が多いところで、道路ぞいにある民家は山林と接近しているうえ、道路からも高い位置にある状況である。
現場周辺も山林地帯が続いており南側は御前山村との村境に近く、西側は約二kmで栃木県境となっている。
消防水利としての河川などの水利は無く、民家が比較的多い場所の道路ぞいに防火用貯水槽が設置されているが数は少ない。また、消火栓も所々にあるが、配水量は少ない状況である。
三 活動概要
平成九年三月一二日(水)一二時五〇分、一一九番電話により、緒川村入本郷の住民から「隣家の前山が燃えています」という慌てた様子の通報を受信する。
覚知と同時に西消防署のポンプ車一隊と、東消防署のポンプ車一隊の計二隊が出場する。
出場途上、山頂付近に広い範囲で煙の上昇を確認する。