2 学習指導の進め方
空手道の学習指導を効果的に進めるためには、児童の実態や技能に応じて学習意欲を高め、安全に留意して学習ができるよう工夫し、適切に行うことによって攻防の技能を競うことや形を上手に行うことの楽しさを味わわせることができる。
(1) 進め方における留意点
(ア) 学習意欲を高める工夫
学習意欲を高める工夫として、学習過程の中で各時間ごとに課題を持たせ、それを達成するための練習の仕方を理解させ、工夫させることが大切である。その際には、児童全体への共通の課題と各個人が持つ課題を分け与えて、そのための練習のしかたをうまく理解できるように指導者が的確な助言を与えておくことである。例えば、技能が同じ程度の児童同士の練習のみでなく、指導者自身が相手となったり、技能の高い児童とも練習させて児童個人の課題がうまく達成できるような助言を与えるようにする。組手では突き・受け・蹴りなどを用いて攻防の技能を競い合うので、ともすると、体力や運動能力の劣る児童は学習意欲がしだいに低下してしまう傾向も考えられる。このような児童に対しては、組手だけでなく形にも重点を置いて、自分の体力や運動能力に応じて能力を発揮できるような場を与えることも必要である。いずれにしても、課題が達成されたら次の課題へ進むというように、技能上達の経過が理解できるようにすることである。
(イ) 学習集団のつくり方
学習集団をつくることは学習指導を効果的に進める上でも必要である。技能の上達に応じて団体組手競技や団体形競技の人数で学習集団をつくり、互いに能力を高め、なおかつ、試合を通して勝敗を争う楽しさや喜びを味わうことで、空手道の楽しさへ結びつけていく方法をとるとよい。
3 新しい視点に立った学習過程
(1) 学習過程の改善・工夫の考え方
新しい学習指導要領の趣旨に沿った学習過程の考え方については、前節の「学習過程の工夫」や、本節の「特性に応じた学習過程」の項でも触れたが、学習過程の具体的な改善・工夫については、以下のように考えることができる。
児童一人一人を伸ばしていこうとするこれからの体育の学習活動は、多様化していく。極論すれば、行っていることが一人一人異なるということにもなる。