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第2節 空手道の特性

 

空手道は、14世紀末に中国の「拳法」を源流とした武術が沖縄に渡り、これに沖縄の伝統的な武術と研究が加わり、さらに洗練されて、日本(沖縄)固有の武術として発展したものである。空手道は、本来人間の持つ基本的欲求のなかの安全の欲求を充足させること、すなわち害意を持った相手から身を護る自己防衛動作を発生の起源としている。“空手に先手なし”という空手道固有の考え方、行動の仕方がこれを示している。

空手道は、歴史的には徒手空拳をもって身を護る武術として発生した。空手道がスポーツ的要素を加味して競技として普及振興したのは比較的新しく、今日では正義を重んじ、平和を愛する精神を基本としている。

空手道は、相手の動きを想定し基本動作と高度な技能を組み合わせて構成された「形」と、相対する二人が相手の動きに応じて互いに自由に攻め合い、攻防の技能を競い合う「組手」とがある。

空手道は、性別・年齢を問わず個人の体力に応じて誰でも行うことができる。近年、女性の間でも空手道を愛好する人々が急速に増加し、競技人口の増加が著しい。また、身体活動の不足と精神面でのもろさを指摘される現代生活のなかでは、それらを補う手段として空手道に親しむ人々が多くなっている。さらに、一人でも、限られた狭い場所でも練習ができるため、多くの人にとって、生涯にわたって実践しやすい内容を持っていることも空手道の特性の一つとしてあげることができる。

 

1 身体的な発育への効果

 

空手道の、立ち方や構えからはじまる基本動作や応用動作また練習に付随する補助運動、補強運動のなかで行う「歩く」「走る」「跳ぶ」などの運動は、体力を養い、健康を増進させるだけでなく、さらに発展した対人的技能や形技能の練習や習熟に役立つ。空手道の運動・動作には他の運動にない特徴がみられる。それは、利き腕、利き足のみを発達させるのでなく、左右を均等に使用する動きが多いため、身体全体をバランスよく発達させるところにある。すなわち調和のとれた身体的発育に効果がある。このことは児童期に最も発達するといわれている調整力(敏捷性、平衡性、柔軟性)の向上に優れた効果がある。その他に筋持久力・全身持久力などを養うことができる。

 

2 精神的な発達への効果

 

児童期は、家庭から離れ学校という環境のなかで生活空間を拡大していくわけであるが、学校では同年齢、異年齢(地域スポーツ指導では主に異年齢)の集団の中で社会的人間関係が求められ、対人関係や社会に適応する能力が養われていく。

 

 

 

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