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1. 児童期の身体的発育・発達の特徴

 

ここで、地域スポーツ指導者が指導の対象とする児童とは、小学生(6歳から12歳)である。このように幅広い年齢層の児童を指導するためには、その年齢層における心身の特徴を良く知った上で行うことが望ましい。

児童期の身体的特徴や体力、運動能力については、1964年(昭和39年)より文部省が行っている運動能力テストをまとめた「体力・運動能力テスト」報告書によって知ることができる。これによると、立位体前屈、上体そらしなどの柔軟性が低下していることがわかる。柔軟性の低下は、可動範囲が狭まり運動表現が乏しくなり、うまく運動できないだけでなく、ケガもしやすくなる。また握力、懸垂腕屈伸、背筋力などの筋力系が低下していることから正しい姿勢がとれない。正しい姿勢や正しい歩行ができないため、腰痛症の原因の一つにもなっている。また授業中(座位)も姿勢が正しくなければ集中力が持続しないなど、全体として「疲れやすい」子供が多い傾向にある。男子、女子の体力・運動能力については、性差は少ないと考えられ、男女共習指導で良く、特別な配慮は必要ないと思われる。

次に巧ち性を調べる「ジグザグドリブル」や心肺機能を測る「踏み台昇降運動」などは高い数値を示しており、この種目の運動能力が低下していないことがわかる。これらを総合すると、児童期の体力では調整力(敏捷性、巧ち性、平衡性、柔軟性)の発達が著しい。また体力・運動能力が非常にアンバランスなのが特徴といえる。これらの報告書は指導者に重要な示唆を与えていると考えられる。“運動は発達刺激”であるから、児童指導においては、偏らない種々の運動を子供たちに与えていくことが必要である。したがって児童期における空手指導は「空手」という種目を通して展開するが、決して空手のみの指導に終始することなく、他のスポーツや遊びを十分取り入れた指導を心掛けなければならない。

* 児童期(6歳から12歳)

 

2. 児童期の精神的発達の特徴

 

ここで、地域スポーツ指導者が指導の対象とする児童とは、小学生である。6歳から12歳の幅広い年齢層の児童を指導するためには、その年齢層における心身の特徴を良く知った上で行うことが望ましい。

児童にとって、空手道とは初めての出会いであることから、生涯スポーツへの入口、あるいは動機付けとしても大変重要な時期である。

指導の方法を誤れば「運動ぎらい」「空手ぎらい」の子供をつくりだすことになるからである。そういった意味からも指導者は十分な準備と配慮が必要である。

 

 

 

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