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プレゼンテーション

 

1. 今、なぜ省エネルギーか?

 

環境・エネルギーコンサルタント 小出啓一

 

先ほどの惠さんの話(基調講演)は、ほとんど先進国の例でした。地球全体を考えると、先進国が経済と技術のほとんどを握っています。世界人口60億人のうち、40億人の人々は、我々が考えられないほどひどい状態で暮らしています。国民総生産(GNP)を見ると、日本では年、1人当り40,000ドルですが、例えばインドネシアでは約1,000ドル程度です。これよりGNPの低い国は沢山あります。彼等は食べるのが精一杯なのです。従って、世界中が同じペース、同じレベルで環境問題を考えることは不可能です。やれる人、やれる国がイニシアティブをとって行うべきなのではないでしょうか。

これから、「家庭でできる省エネ」という話がいろいろの立場の人によって話されますが、それに先だって、「省エネ」をとりまく基本的なことをまとめておきたいと思います。

・地球は現時点では準安定な天体で、熟力学の法則により支配されています。

・地球に本来存在している物質は、ほとんど宇宙空間には放出されていません。光と熱だけが等しく出入りしています。従って、地球上の物質の量は不変です。

・エネルギーの総量も不変です。しかしエネルギーを仕事に使うと質が悪くなります。物を熱するとき、1000℃の熱のかたまり1個は役に立ちますが、10℃になった熱のかたまり100個はエネルギーの量は同じですが、物を熱するには役に立ちません。(質が悪いのです。)

・便宜上、そのまま使用できるエネルギーを一次エネルギーといいます。石油・石炭・天然ガス等の化石燃料と、大陽光・風力・水力等の自然エネルギーと原子力があります。一次エネルギーは、エネルギーの“かたまり”ともいえるもので有限です。

・一次エネルギーを加工して、使いやすい形にしたエネルギーを二次エネルギーといいます。

電力・都市ガス・高圧蒸気・圧縮ガス等があります。

・エネルギーは、使うとき、伝えるときに必ず、無駄になる部分があります。

使ったエネルギーに対する役に立ったエネルギーの比を効率といいます。

日本の電力の発電効率は40%程度で、世界でもトップレベルです。

・化石燃料を使用する(燃す)と、必ずCO2が発生します。牛等が反芻するとメタンを、植物が腐っていくときにはCO2を発生します。(メタンやCO2等は温室効果ガスと呼ばれています。)

・CO2は、地球温暖化の原因となるガスといわれています。まだ炭素循環のフローが充分に解明されていないものの、増加させないことが“よい”と思われているので、できるだけ発生を抑えるように努力することが求められます。それは省エネルギーを実践することです。

 

 

 

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