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このダイオキシン類が食物からどのくらい摂取されているか各国と比較すると日本人は1日当り163ピコグラムでドイツ人130、カナダ人140、オランダ人117、イギリス人123よりかなり高いレベルであるがアメリカ人の180〜192よりは少し低い。

これに対し、安全な摂取レベルはどうかと言えば各国バラバラだが体重1kg当り1日量としての健康リスク評価指針値はドイツ(1985年)1〜10、米国EPO(1994年)0.01に対し日本は厚生省がWHOの値の10、環境庁はさらにその半分の5ピコグラムを推奨しているので60kgの大人は300ピコグラムとなり、前述の値は未だ半分だがだからといって安心できるレベルにあるということにもならない。

これらの数値(耐容1日摂取量)の設定にはサルやラットなどの実験値から推定するがその安全率はラットとヒトに10、ヒトの個体差に10;合計100とした不確実係数を用いる。従って2・3・7・8TCDDのラットの発癌の最小毒性量が1000ピコグラムだったのでその百分の1の10ピコグラムをとり、アカゲザルの子宮内膜症の場合ではサルとヒトとの関係はラットよりも近いので5などとそれぞれの実験から1ピコグラムと決めたものであるが米国EPAは図2のように百万人に1人の確率で発症する可能性のところまで引き下げたVSDの値をとっている。

 

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図2. 用量と反応関係概念図

 

耐容1日摂取量をTDI値というが現在見直しがおこなわれていて、WHOでは1〜4pg/kg/dの幅を出している。

これによれば前記の体重60 kgの大人でも60〜240pg/dとなり日本人の摂取レベルは安全とはいいにくくなる。

しかし、ダイオキシンが母乳に濃縮するため、母乳による育児について好ましくないのではと懸念されているが相変らず母乳での育児を推奨している。

そのほか母乳と人工乳によるアトピー症の発症率の差、3歳児健診時による差異などのデータの紹介もあり、質疑応答では予算がつけられたので一両年中に大気、ふんじん、人体のダイオキシン濃度等のデータ収集に努めたいとの考えのご披露があった。

 

14:03 事例発表を含むリレートーク

最初に深尾さんから“ゴミと企業”について話があり、引き続いて柏木さんと田沼さんが“ゴミの減量ノウハウ”についての発表、最後に疋田さんから将来を見越しての“ゴミの一層の分別化”についてスタンバイ態勢にあるとの発表が行われた。

 

 

 

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