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2000何年には25%の人々が65歳以上という高齢化社会がくるといわれていますが、その頃に高齢者と呼ばれる人たちは大抵が明治から戦前生まれの方で、お母さんのおなかにいるときから健康に育つ、つまり地域にあるものを食べて日々の生活のスタイル(ライフスタイル)もけっこう自然の時間にあった暮らしをしています。だから、高齢社会の高齢者は「不老長寿」つまり年齢は重ねているけれども、気持ち的に老いてない、体も元気、そして長生きするという人たちでしょう。それに対して私たちの息子や娘達の時代の人たちは「老化不死」つまり生まれる前からお母さんのおなかの中で汚染された栄養をもらい、母乳も汚染されていると言われ、生まれてから食べる物からもいろんなものが入ってきて、肝臓にどんどん負担をかける生活を強いられている。
そうすると彼らは、生まれた時からもう年老いて体がぼろぼろになるステップを踏まざるをえない。しかし、技術としての医学が進歩しているから死なせてももらえない。極端ですけれどそういう人たちがいっしょに生活する中でのパートナーシップのあり方は、ひと筋縄ではいかないということもまた考えていかなくてはならないのです。

次に、市民活動の中で、スペシャリストとの関係についてちょっとふれてみたいと思います。環境教育とか、都市計画教育、まちづくり教育、成熟した市民のあり方教育などそういうものが少しずつみんなの中で育ち上がっていかないと、良い市民社会、良いパートナーシップがなかなか組めないのですね。それを教えることのできる人たちは我々の世代以上の人たちではないかと思います。みんなが専門家であり、豊かな経験から臨機応変に対応できる、そういう意味での先生です。その人々のネットワークが是非必要です。

その他、大事なのは議員さん教育、どんな不法な要求を行政の職員の方に対して、日々、議員さんが活動と称して私たちの税金を使ってやっておられるか、そういう意味で市民生活を良くしていくというそのポイントからちゃんと動ける議員さんを私たちは教育する必要がある。そして市民活動リーダーの教育がもっと必要です。リーダーとしての団体の運営マネージメント、それもいってみれば会社の運営と同じように、いろんな技術や考えやテクニックが必要になってくる。市民活動のリーダー研修は同時に、市民活動団体の中の役員、理事、評議員、監事などがいますけれども、その人たちも研修プログラムを受け、意識を持ってちゃんと、理事はなにをすべきか、評議員はなにをすべきかというような、ある意味ではプロフェッショナル、スペシャリストが育つ必要がある。そのうまい連携のもとで市民活動と行政施策展開の点と線といいますか、接点や重なりを見ていくわけです。そのためには、ものさし、つまり活動をどう評価するかということが必要だと思います。

そのものさしを3つあげます。これは非常に大きいポイントから3点だけですが、まず1つ目として地球全体でものを見る。つまり、開発にしても環境保全の運動にしても地球全体主義で考えた時に地球の資源とその限界、あるいは継続性についてそれを損なわないようにやっていける事業か活動なのかということです。2つ目のものさしは自然の生存権の確立、つまり自然にも生きる権利があり、自然が生存する権利をちゃんと守れているかどうか、確立できているかどうかということです。3つめは世代間の倫理、今の我々、生きている世代には都合がいいし、みんなが誰でもそうだねと言って納得して、じゃあこれでいきましょうと決定して進むんですが、これが賛成大多数であれば民主主義ということですが共時的価値観であるという落とし穴でもある。

 

 

 

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