市民参加は20世紀の後半で盛んに言われて、けっこうみなさん、イベント疲れしているのではないでしょうか。その疲れを癒す意味でもできれば、「踊る市民と踊らされる市民」がいるのであればみんな踊らされているのではなくて、こんどは「踊らせる役、一緒に踊る」という企画をしたり、プロデューサーとしての役目を果たしたりする立場が非常に重要になってきます。なにかに参加すればいい、私は一員なんだというのではなくて、今回のみなさんのような実行委員会方式で企画を実行して、次にそれが行動に移るという、そのステップを段階的にちゃんと捉えていける。そのことはたとえば企画そのものもテコになるし、どこかに出かけて、今日のようにお集まりになること自体も大きなテコになるわけです。
その経験をテコにしてパートナーシップの存在を意識できる。先ほどお話にあった行政や日本財団などはお金で支援し、事業などの受け入れ窓口である千葉県環境財団がある。あるいは市民は実行委員会を組んでその中で推進していく。また、企業も参加しておられる。そういうパートナーシップの実感を積み重ねていくことで大きなジャンプアップができるのではないかなということです。
大きい話の3つめは市民・企業・行政との間だけではなくパートナーシップのありかたのひとつにスペシャリストと市民活動団体、つまり専門家と市民活動団体との関係も大きな役害を果たしていくということです。1998年の12月1日にNPO法(特定非営利活動促進法)が施行されます。このNPO法では各都道府県は条例を作り、これに対して市民団体が法律のもとで認められる法人格としてのNPO法人になりたいという申請をします。
そして2か月間こういう団体が応募していますよということをみんなに知らせてその団体に対して他から文句が出ないか確認します。つまり、あの団体はもしかして名前はNPOだけど、やくざさんのかくれみのだよとか、なにか別な思惑で政治献金を隠す、税金のがれの道としてNPO法人をかたっているよとか、そういうことがないかとみんなに申請者のことを知らせて確かめてもらう期間が2か月ある。それで文句がなければ法人の資格を次の2か月間で審査し、問題がなければその法人格が認めてあげようという法律になっています。法律に基づいてNPO法人になり市民活動を行いやすく、活躍の場をつくりやすくするという第一歩がとりあえずスタートしたわけです。
21世紀は企業と行政と市民、市民も、できればネットワークのグループとして存在を確立し、大きな3つの輪が重なっていく、そういう重なりの部分での仕事が非常に有効になってきます。従来捉えられていたような市民活動が行政の肩がわりをするとか、行政ができない部分をやってあげるというだけではなくて、21世紀の新しい市民社会を作るために必要な今まで思いつかなかった公共的なサービスを市民がやっていく、そういう時代になっていますから、そういうサービスを一生懸命やってくれるNPO団体が大きな主役の1つになるんですね。企業、行政、市民が「ひと」「もの」「かね」と「情報」という四大資源を活かし合う、そういう時代になってきますから、その市民活動の推進において、定年後の方とか、あるいは従来、ご自分の人生の中でいろんな経験をされてきたみなさんの経験が生かせる場がでてきます。