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11. 水生昆虫各種のため池の利用様式

今回、休耕田を利用して造成したため池ではさまざまな水生昆虫が確認されたが、その利用様式は3つのタイプに分けられた。すなわち、a)繁殖時期のみ利用する種、b)一時的生息地としてのみ利用する種、c)生活史のすべてを過ごす種である。

aのタイプにはフタバカゲロウの一種などのカゲロウ目、オニヤンマなどのトンボ目、オナシカワゲラの一種のようなカワゲラ目、ヤハズカユスリカなどのハエ目、ホソバトビケラのようなトビケラ目、ヒメアメンボが、bのタイプにはオオアメンボ、アメンボ、ミズカマキリなどや、ヒメゲンゴロウなどのコウチュウ目、Cのタイプにはマツモムシ、コミズムシ、コオイムシなどがそれぞれ含まれた。生活史のすべてを過ごす種や繁殖時期にこのため池を利用する種は言うに及ばず、一時的生息地としてのみ利用した種にとってもこのため池は重要であり、多くの水生昆虫の生息を支えていると言える。また、ミズカマキリのように遠方より飛来したと考えられる種もあり、休耕田を掘り起こすだけで、水生昆虫のレフュージアとして高い価値を持つビオトープが形成されることが実証された。

 

 

 

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