3年目の1〜3月にはフタバカゲロウの一種、コミズムシが、4〜7月にはマツモムシ、ヒメアメンボ、コミズムシ、ホソミオツネントンボ、オオアオイトトンボ、コオイムシが、8〜10月にはコミズムシ、マツモムシ、コマツモムシ、シオカラトンボ類がそれぞれ優占していた。
このように、ため池造成後の時間の経過にともなって、1年目のようにマツモムシだけが優占するような単調な群集から、2年目、3年目のように、季節によってさまざまな種が優占する多様性の高い群集に変化していくことが明らかになった(表3,図15)。
10. 各年の同時期の水生昆虫群集の比較
1年目と2年目の同月の水生昆虫群集の重複度を見ると、0.6〜0.86の値を示した。この数値はどちらの年もマツモムンが優占していことを考慮に入れると、かなり異なった群集が成立していたと言える。2年目の6〜9月には1年目の同時期には確認されなかったオニヤンマ、シオカラトンボ類が確認され、ホソミオツネントンボ、オオアオイトトンボなどの程では1年目よりも高密度で推移した。また1年目には成虫のみであったガムシやコミズムシやコオイムシは、2年目には幼虫もこのため池内で確認され、個体数が増加した。2年目の10〜12月にかけては、フタバカゲロウの一種とコミズムンが1年目の同時期より高密度で推移した。
また2年目と3年目の同月の重複度を見ると、4月、6月、10月のように0.9以上の高い重複度を示す月もあり、1年目と2年目のほど大きな群集構造の変化はなっかたものの、3年目の1〜3月にはコミズムシが2年目の同時期よりも高い密度で推移し、7〜8月には種構成には大きな違いは見られなるものの、シオカラトンボ類やコオイムシやコミズムシなどのように2年目〜3年目にかけてきらに個体数を増加せる種などがあり、2年目と3年目の群集構造にも変化が見られた。これらのことは、造成後の時間の経過にともなって、群集の遷移が進行していることを示している(表3,図15,16)。