9) オニヤンマAnotogaster sieboldii
1年目の8月下旬から3年目の調査終了時まで常にため池内で確認された。成虫がこのため池に飛来して産卵した結果発生したものと思われる。また一度の採集で複数のステージの幼虫が得られたことから、本種は成虫になるまで数年を要するものと思われる。
10) クロスジギンヤンマAnax nigrofasciatus
1年目の7月下旬からため池内で確認されるようになり、そのままため池内で越冬した。2年目の4月下旬から5月上旬にかけて羽化が多数確認されたことから、本種は年1化であると推測される。成虫がこのため池に飛来して産卵した結果発生したものと思われる。その後は同様に推移した。
11) シオカラトンボ類Orthetrum spp.(シオヤトンボO.japonicum,シオカラトンボO.albistylum,オオシオカラトンボO.triangulare)1年目の9月上旬からため池内で確認されるようになり、そのままため池内で越冬し、2年目6月〜7月にかけて減少し、再び9月上旬から高い密度で推移するようになり、その後は継続して確認された。成虫がこのため池に飛来して産卵した結果発生したものと思われる。シオヤトンボの成虫は200〜300の卵を産卵するが(Watanabe,1993)、本調査地でも特に、3年目の8月下旬以降は高い密度で推移した。
12) ショウジョウトンボCrocothemis servilia
2年目の4月下旬〜7月下旬、3年目の4月上旬〜5月中旬に確認された。成虫がこのため池に飛来して産卵した結果発生したものと思われる。トンボ研究会(1998)では本種は1年2化の可能性があるとしているが、本調査では確認できなかった。
13) ナツアカネ
1年目は6月23日の調査開始時から8月下旬にかけて確認された。2年目には確認されなかったが、3年目の5月下旬〜7月下旬にかけて再び確認された。ため池造成の前年から卵で越冬して、孵化して発生したものと考えられる。