4) ホソミイトトンボAgrionidae migratum
1年目の7月中旬〜10月下旬、2年目の7月上旬〜10月上旬、3年目の6月中旬〜9月中旬に高い密度で推移した。成虫がこのため池に飛来して産卵した結果発生したものと思われる。
5) キイトトンボCeriagrion melanurum
3年目の4月下旬〜6月中旬に低密度で推移した。成虫がこのため池に飛来して産卵した結果発生したものと思われる。トンボ目の中でも本種はため池への侵入が比較的遅かった。その理由として、本種の成虫が近辺に生息していなかったこと、もしくは、生息していた個体数が少なかったことがあげられる。
6) ホソミオツネントンボIndolestes peregrinus
1年目は秋に低密度で推移したが、2年目の5月中旬〜9月中旬、3年目の5月上旬〜8月下旬に1年目よりも高密度で推移した。成虫がこのため池に飛来して産卵した結果発生したものと思われる。本種の成虫は、水面上に張り出した植物の葉や茎の水面から離れた部位の生体組織内に産卵を行う(石田ら,1988)。1年目の幼虫の発生が遅れたのは、ため池造成直後には本種の成虫が産卵できる植物がほとんどなかったためと考えられる。
7) オオアオイトトンボLestes temporalis
1年目には8月下旬〜10月上旬にのべ10個体のみしか確認されなかったが、2年目の5月下旬〜8月上旬、3年目の4月下旬〜7月中旬には1年目よりも高い密度で推移した。ため池造成の前年から卵で越冬して、孵化して発生したものと考えられる。本種の成虫は水際の樹木から水面上に張り出した枝に産卵し(石田ら,1988)、孵化後、幼虫は枝から落下し、他のトンボ目の幼虫と同様に水中で生活する(東ら,1998)。1年目にほとんど本種の幼虫が確認されなっかたのはため池造成の前年にはほとんど水がなく、調査地の近辺の樹木の枝に本種の成虫がほとんど産卵しなかったためと考えられる。
8) ニシワトンボ
本種の幼虫は平地から山地にいたる筈程の清流に生息する(石田ら,1988)。本調査地においても散発的にしか確認されなかったことから、水源から流れてきたものと思われる。