3. 調査で確認された水生昆虫の種数およびのへ個体数
本調査ではカゲロウ目、トンボ目、カワゲラ目、カメムシ目、ヘビトンボ目、コウチュウ目、ハエ目、トビケラ目の8日に属する27科56種のべ50990個体の水生昆虫が確認された(表1)。全調査期間を通じての優占種は、多い順にマツモムシNotonecta triguttata、ヒメアメンボGerris latiabdominis、コミズムシSigara substriata、フタバ力ゲロウ種Cloeon sp.の一種であった。また、これらの優占4種で全種ののべ総個体数の約63%を占めた。また、種数から見た優占目はコウチュウ目(17種)、トンボ目(15種)、カメムシ目(14種)で、この3日で全種数の約80%を占めた。
4. 累積種数
1996年5月11日のため池造成時にはヒメアメンボ成虫とマツモムシ成虫の2種のみが見られたが、6月13日にはミズスマシ成虫Gyrinus japonicus、マルバネトビケラ幼虫Phryganopsyche latipennis、ナツアカネ幼虫Sympetrum darwinianumの3種が増えて5種となり、6月23日の調査開始時にはヤスマツアメンボ成虫Gerris insularis、マメゲンゴロウ成虫Agabus japonicusの2種が増えて7種となった。1996年の終わりまでには29種に達し、その後も徐々に種数は増加し、1997年6月中旬にクロゲンゴロウ成虫Cybister brevisが現れ、1997年の年末までには50種確認され、1998年10月の調査終了までには累積種数は56種に達した。年を追って新たな種の侵入率は低下していったものの、調査期間中に累積種数は常に増加を続けた(図5)。
5. ため池で確認された水生昆虫の侵入方法
休耕田に水を引くことにより多くの水生昆虫を(再)移住させることができた。これは、ひとつには調査地として設定した休耕田が豊かな自然環境の残された山間部にあることによると考えられる。