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その周囲はコナラ、クヌギ、アカマツなどで構成される里山林およびスギ・ヒノキ植林で囲まれ、棚田には湧水の流入があった。1996年5月に最上部の休耕田を掘り起こし、畦、水路を整備した後、1996年5月11日に水を引いて、面積約180m2、水深10〜20cmの浅いため池を造成した(調査地A)(図2)。なお、10枚の棚田のうち、上から2〜7枚目は1996年には水田として利用されていた。

 

2. 調査方法

調査は1996年6月23日から1998年10月13日まで毎週1回、計115回、午前中に行った。また、1996年5月11日と6月13日には予備調査として、種数のみを記録する調査を行った。6月23日からの調査は、畦の上を歩きながら、畦から1m以内のため池内にいる水生昆虫を目視あるいは水生昆虫網ですくい取って確認し、種と個体数を記録する方法で行った。網は水生昆虫の採集に適している(William,1985)とされるD型ネットを使用した。すくいとった水生昆虫はその場で放逐したが、種名のわからないものについては研究室に持ち帰り同定した。また、ため池内に人為的に生物を持ち込むことはしなかった。

 

3. 解析方法

各月の群集間の重複度を木元(1967)のCπ指数を用いて算出した。Cπ指数は、共通種数による指数を個体数によって重みづけを行う指数である。Cπ指数にもとづき、各月の水生昆虫群集の類似性を示すデンドログラムを群平均法により作成した。

Cπ指数はそれぞれ次式により求めた(本元・武田,1989参照)。

 

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ただし、N1おとびN2は群集1および群集2におけるサンプル総数、n1iおよびn2iは群集1および群集2における種iの個体数である。

 

 

 

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