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II. ノーマライゼーションを考える

国連の「国際障害者年行動計画」(1981)において「障害者は、その社会の他の者と異なったニーズを待つ特別な集団と考えられるべきではなく、その通常の人間的なニーズを充たすのに特別の困難を持つ普通の人間と考えられるべきである」と述べられている。

ノーマライゼーション(Normalization)→1959年デンマークの知的障害者の親の運動の中から提唱されてきた考え。我が国でも1970年代頃から注目されてきた。その意味は高齢者も若者も、障害者もそうでない者も、すべて人間として普通(ノーマル)の生活を送るためともに暮らし、ともに生きぬくような社会こそノーマルである-という考え。

つまり、高齢者や障害者の施設を作り、しかも遠くへ隔離・分断するような社会はアブノーマルだという精神が理念上の基盤になったもの。

「排除の福祉」からノーマライゼーションへ

かつて国は弱者に対して、収容施設を作ってそこで面倒を見るのが「福祉」だ、と思い違いをした。この「排除の福祉」が、弱者を一層不幸にした。世間の人に、彼らへの蔑視や差別感を育ててしまった。近年、国はようやくその誤りに気づいたようだ。今、知的障害者や身体障害者や老人に対しては、そのノーマライゼーションに向かって少し動き出している。世間の人たちも、彼らに対しては徐々にだが受容の姿勢をとるようになっている。

精神障害者だけがのけ者だ・・・(心病める人たち-石川信義先生)

・ ノーマライゼーションは、障害者のためだけの考えではありません。その基本理念はみんなが幸せに生きるために、というものです。

同化主義→障害者が適応していくことでしか社会が受け入れないとする思想。

多元主義→障害者が社会に適応するのではなく、社会が障害者をありのままで受け入れるという思想。

・ 精神障害とは、病気がもたらす困難の上に、社会生活を送る困難が重なって生み出された障害といわざるを得ない→精神障害は病者と社会の関係から生まれてくる差別と偏見の中にあって、患者は精神障害であることを受け入れることに抵抗し、拒否せざるを得ない→治療が中断

精神障害者が社会で生きていく力を取り戻していく過程は同時に、社会が精神障害を受け入れる過程でもある→精神疾患を「特別な病」と感じなくてよい社会的条件を整える

・ 地域精神医療、地域ケア体制を推進するために、大前提として、精神疾患に対する「心の障壁の除去(心のバリアフリー)」が必要である。

 

 

 

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