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この定義に従うと、1995年時点で、世界ならびに主要地域全体としては「水不足のない」状態である(表2の(5)欄)。しかしなが国別にみると、「水ストレス」の国は11カ国(2.70億人)、「水不足」の国は18カ国(1.66億人)ある。世界人口に占める割合は、各々4.7%と2.9%である。(9)これらの国の多くは、中近東、アフリカの砂漠地帯に位置している。

今後、人口の増加にもかかわらず、少なくとも2050年までは、世界、主要地別にみる限り、水不足状態は起きないが、21世紀後半にはアフリカ、アジアは全体として「水ストレス」に近い状態に陥る恐れがある。二大人口国のうち、インドは20世紀にはいると「水ストレス」状態に陥り、中国も2050年までには水ストレス状態に陥るであろう。国別には、2050年には、「水ストレス」の国は15カ国(23億人)、「水不足」の国は39カ国(17億人)に達するものと予想される。その時点で、それらの国の世界人口に占める割合は各々24%と18%となる。(10)

 

3. 水資源からみた最大許容人口

 

(1) Cohenの(水資源からみた)地球の最大許容人口

Cohenは、もし人間が地球上の年間更新可能淡水有効水量を、飲料水など家庭用に必要な最低限の水と穀物生産のための灌漑農業に必要な水としてだけ用いたとしたら、一体何人の人口を養うことができるかを試算している。(11)彼の方法は以下の通りである。

まず、1キログラムの小麦粉を生産するには、2キログラムの小麦が必要である。蒸散率を500%とみると、そのために必要な水は1,000キログラム(=2キログラムx500=1m3=1t(トン))である。小麦粉1キログラムは3.500キロカロリーの熱量を生み出す。1人1日1,000キロカロリーの熱量を1年間消費するのに必要な小麦を生産するのに必要とされる淡水は100t(トン)である。

さて、1人の人間が1年間灌漑農業から生産される穀物で必要な熱量を摂取するのに必要な淡水量(Wrm3)は次式で表される。

 

 

 

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