各関連部門の中国人口推計をみると、1995〜2010年間の人口増加は緩やかな趨勢をたどることになり、またそれは相当長期間続き、結局は人口のゼロ成長を実現するようになる。この時期はまた中国の人口目標実現のかなめとなる時期である。中国政府はその人口を2000年に13億以内、2010年に14億以内に抑えるとの目標を打ち出している。これは、21世紀の最初の10年間に1995年の12億からさらに2倍近くの人口増加が現われることを意味する。
計画生育の成功的な実施により、中国の出生率はすでに置換え水準に低下しているが、人口の慣性のため毎年引き続き1300万人の平均増加を続けている。国連の推計によると、このような低い出生率水準でも、人口増加は21世紀の30年代まで続き、その時総人口は最高で16億前後に達する見通しである。まだ、見逃してはならないのは、現在の出生率水準には大きな地域間の格差が存在しているということと非常に不安定であるということである。出生率水準の不均衡と不安定ということを考えれば、今後もし出生率に反動が生じた場合、将来の総人口が17億を突破し、ひいては18億を突破する可能性も大きい。21世紀に入って、膨大な人口規模と引き続く人口増加から産まれる食糧需要は、中国の食糧生産に巨大な圧力をもたらすことになる。食糧生産量は引き続き増加しているが、その多くの部分が新たに増加した人口によって消費されている。
しかも、人口増加と経済発展に起因する土地面積の減少により、中国の一人当たり耕地面積は建国初期の0.18ヘクタールから1996年には0.11ヘクタールに低下している。特に、長江、珠江デルタ地域の経済発展と人口密度の上昇は、中国の食糧生産に一番適している耕地を他の用途に転じさせ、食糧の生産と供給に大きな影響を及ぼしている。
今、中国は経済の高度成長期にあり、今後の近代化過程において、食糧問題の解決は大きな課題となる。中国は人口大国である。人口規模の小さい国または地域なら輸入によって食糧問題の解決が可能であろうが、大国となるとそれはそんなに簡単なことではなくなる。現在、世界の食糧総生産量は世界総人口の需要を満たせるが、多くの国と地域ではやはり食糧不足の状況にある。中国は食糧供給において、自力更生を堅持し、高度の食糧自給率を保つことが必要であり、これはまた持続可能な発展を保証する根本でもある。実際のところ、中国ではずっとこの道を歩んできている。