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2. 農業政策と水資源

 

中国の農業政策は、一貫して基本農産物、特に食糧の安定的な増加を目標としてきた。食糧生産の安定的な増加を確保するための措置が耕地の灌漑面積の拡大である。現在、全国の灌漑面積は耕地面積の半分に達していないが、全国三分の二の食糧を生産している。中国の農地灌漑面積は世界一を占めており、農業用水の需要が極めて大きい。しかし、水資源の不足は耕地灌漑面積の拡大を制約し、長期的に中国農業経済、特に食糧生産の持続的で安定的な増加を制約する重要な要因となっている。中国の一人当たり水資源は世界平均レベルのわずか四分の一であり、耕地の平均灌漑水量も世界平均レベルの半分しかない。言い換えると、中国は水資源の不足が非常に厳しい国である。中国は水資源が不足していると同時に、また以下の特徴をも持っている。

(1) 農業用水量が大きい。全国の総用水量は毎年4767億立方メートルであるが、その内農業用水が4195億立方メートルで、総用水量の88%を占めており、主に灌漑に使われている。

(2) 地域分布が不均衡で、南には多く、北には少ない。長江以南の地域では水資源が全国の約70%を占めているが、耕地面積はわずか全国の31%しか占めていない。一方、長江以北地域では、水資源は全国の30%を占めているが、耕地面積は全国の69%をも占めている。西南地域では、一人当たり水資源の占有量は38400立方メートルにも達し、全国平均値の15倍にもなっているが、人口が多く地域の広い華北地域では一人当たりと耕地の平均水資源占有量は低く、地域によっては一人当たり水量の占有量がわずか430立方メートルのところもある。

(3) 降水量の年間季節の変化が非常に大きく、水害と干ばつが頻繁に起こっている。南部地域の最大年降水量は一般に最小年降水量の2〜4倍に達し、北部では一般に3〜6倍に達している。一年の内に、全国大部分地区の最大四ケ月の降水量は年降水量の70%前後を占めており、華北平野では80%以上に達している。降水量の年間の著しい差異と年内の高度集中の特徴は、水資源の利用と開発に困難をもたらすだけでなく、しばしば大面積の干ばつまたは大面積の洪水災害を引き起こしている。これは中国農業生産が不安定な主要要因である。したがって、水利建設を行ない、干ばつ、洪水に備えることは中国農業の一つの大きな厳しい任務となっている。

(4) 水資源の有効利用率が低い。耕地灌漑の水の有効利用率は40〜65%程度である。

 

 

 

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