1993年に総生産量は4564億キログラムに達し、世界第一位となり、一人当たりでは387キログラムに達し、世界の平均水準となった。さらに、1997年の総生産量は4925億キログラムに達している。中国は世界の7%しかない耕地で世界の22%の人口を養っているのである。第九回五ケ年計画(1996〜2000年)での中国の食糧生産目標は、2000年に4900〜5000億キログラムである。中国の食糧生産は長期的には引き続き上昇する趨勢である。
中国経済発展の歴史経験からすると、国民経済が高速に発展する時期にはしばしば農業、特に食糧生産の緩慢な発展時期であり、国民経済の緩慢な発展時期はまたしばしば農業、特に食糧生産が速い速度で発展する時期であった。中国経済は将来の十何年間に引き続き比較的に高い成長速度を保つものと思われる。第九回五ヶ年計画と2010年遠景目標綱要によると、中国の国民総生産は第九回五ヶ年期間には年平均8%、21世紀の最初の10年間には7%となっている。中国の将来十数年間の実際経済成長率はこの計画値より高くなるとの観測が多く、9%前後に推計されている。これは世界の平均レベルを大きく上回っているものである。経済の高速な発展により、90年代に入ってから食糧生産量は引き続き上昇しているが、食糧生産量の年平均増加率はやや低下している。これが今後の長期趨勢になるのではないかとの懸念があるが、その答えはノーである。理由は以下の如くである。
(1) 政府は生産と輸出入貿易政策において、国内の食糧生産の保護に大きな力を入れている。これは政府の公表している「中国食糧問題」報告書によって確認できる。
(2) 国内の農産品、特に食糧市場システムは改革により引き続き改善され、価格弾力性の食糧生産量の増加への促進作用がさらに増強される。
(3) 中国の食糧生産はまだ大きな増加潜在力を持っており、資本、技術、労働投入、政策、制度などの条件が具備すれば、その潜在力は現実のものとなる。
多くの学者及び国家研究機構の研究(林:1995、李岳云:1996)によると、食糧生産の政策と制度変遷(例えば請負制)が基本的に安定している状況のもとで、中国の食糧生産量の増加は主として耕地単位面積の生産高向上によって実現可能である。