中国の農業環境及びその対策
吉林大学東北亜研究院人口研究所
講師 申斯迎
1. 耕地の改良及び拡大
中国は国土が広く、その面積は960万平方キロメートルであるが、その内の相当大きな部分は開発利用の難しい山区、高寒荒れ地または砂漠地域、干ばつまたは半干ばつ地域に属している。そのため、耕地は割合に少なく、約9490万ヘクタールで、一人当たり耕地面積はわずか0.085ヘクタールで、世界平均水準の四分の一に相当する。
耕地は農産物生産の基地となるだけでなく、都市、道路、工場、鉱山建築にも欠かせないものであり、広範な用途を有している。そのため、耕地は都市の拡大、交通建設など非農業目的に使用されている。現在、中国経済は高度発展段階にあり、経済活動の総量及び経済規模は引き続き拡大しており、耕地の非農業目的使用問題が非常に厳しくなっている。中国の耕地面積はいま毎年平均30万ヘクタールずつ減少しているが、その主な原因は非農業目的への耕地使用である。耕地が引き続き減少していると同時に、人口が増加したため、中国の一人当たり耕地面積は大幅に低下している。1949年中国の耕地面積は9850万ヘクタールで、一人当たり耕地面積は0.187ヘクタールであったが、1957年の耕地面積は11130万ヘクタールで、一人当たり耕地面積は0.173ヘクタールであり、1993年には耕地面積が9490万ヘクタールで、一人当たり耕地面積は0.085ヘクタールとなり、1949年のわずか二分の一に相当するに至っている。
中国の耕地面積は減少するだけでなく、耕地の質も低下しており、耕地の有機質含量はすでに平均1%までに低下しており、欧米国家の耕地有機質含量2.5〜4.0%の水準を大幅に下回っている。重要な農業基地である長江准河流域では、土壌有機質含量が一般的に1%未満であり、個別的な地域では0.3%以下である。1989年の黒龍江省の抽出調査結果によると、「北の穀倉」と称されている東北黒土地帯の土壌有機質含量は1〜5%であるが、40、50年代にはかつて8〜10%に達していた。この他に、アルカリ化、砂漠化、水土の流失と自然災害も絶えず耕地を侵食している。現在、中国でアルカリ化の危険に直面している耕地は約670万ヘクタールであり、砂漠化の危険に直面している耕地は400万ヘクタール近くに達している。