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また中国農業科学院マクロ農業研究所は、人口が15億に達する2020年前に、食糧収穫量は6億2500万トンから6億7000万トン、一人当たり425キロから450キロに達し、食糧の自給は基本的に保証されると予測している。したがって、2020年の食糧自給率も95%以上と見込み、ブラウン氏による2030年の同自給率予測41%をはるかに上回る。

中国では、現在食糧輸入量は消費の約2%にすぎず、食糧自給自足は中国の一貫した国策である。しかも家族計画、環境保護、農地保護という三大基本政策はいずれも密接に関わっている。中国の耕地面積から見れば、毎年工業建設などによって大量な耕地が占用されている。しかし、予備耕地資源の開墾によってこれを補充する。たとえば、1990年から1993年にかけて、平均毎年910万ムーの耕地を減少したが、他方において毎年702万ムーの耕地を新しく開墾した。その結果、実際の減少は208万ムーとなる。統計によると中国の開墾可能な荒地は5億を擁して、政府の計画では1990年から2000年にかけて、平均毎年500万ムーを開墾する方針である。この開墾計画を実施することによって、2030年までの40年間、これまでの耕地面積と共にさらに2倍ムーの新増耕地が開墾されることになる。ブラウン氏の予言されたような「耕地減少」にはならない。

 

(3) 農業科学技術の強化、農業投資の増大、総合開発区の指定による農業発展政策

21世紀にはいると、中国の経済発展と所得水準の上昇に伴って、国民の食物消費水準もさらに改善され、一人当たりの直接食糧の消費量が減少し、替わりに動物性食品、果物、野菜、植物油などの割合が大幅に上昇する傾向となる。また、農業科学技術の進歩も食糧の増産に大きく貢献されると考えられる。1980年代前半の食糧大増産は集団農業体制の崩壊による個人経営の確立がもたらしたが、その後の増産の主役は技術進歩であった。例えば中国が独自に開発したハイブリット米は1990年には50%近い水田で栽培され、従来に比べ15-20%もの増産を実現した。中国は現在毎年約6000件の農業科学技術成果が取得され、今後技術進歩の農業への貢献は益々大きくなると予想される。

 

 

 

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