もし、計画生育(家族計画)政策が少しでも緩められるならば、より大規模な人口増加になる可能性がある。これと同時に、中国は相次いで老年人口と労働力年齢人口のピークに入る。2040年には、65歳以上の老年人口は3億人を突破し、現在よりも2億人の増加、その時の中国人口数の約20%を占めることになり、扶養負担は異常に重いものとなる。そして、また15-64才の労働力年齢人口は2020年にはピークに達し、約10億人となる。実際の労働力供給人口は8-8.5億人の間であり、長期にわたる雇用圧力が形成される。東北三省も同じ傾向にある。
2. 東北三省人口・労働力増加及び就業状況のケーススタデイ
(1) 東北三省における労働力の現状
先ず中国全体の労働力増加についてみると、1990年の労働力資源総数は6億9,732万人、社会労働者5億6,740万人であり、年平均増加率は4.2%と4.6%である。推計によると、1990年代における中国の労働力の増加率は約3%で、新規に雇用機会を与える必要のある人数は年平均約1,500万人である。雇用圧力の中で最も突出した問題は、膨大な農村余剰労働力である。統計によると、1988年の農業余剰労働力は約1.4億人、今後農村人口の増加と耕地規模の減少につれて、農村余剰労働力の非農業への転換は、中国の工業化・都市化実現に当たっての基本的な課題であると考えられる。
東北三省の場合、第4回人口センサスの結果によると、1990年東北三省の総人口は9,9933.6万人1)で、そのうち、生産年齢人口(15-59才)は6,433.3万人で、総人口の64.8%を占めている。そして、この生産年齢人口のうち、就業人口は5,269.6万で生産年齢人口に占める割合が81.9%%となっている。
統計によると、1990年全国生産年齢人口の総人口に占める割合の60%に対し、東北三省の生産年齢人口の総人口に占める割合は64.8%、全国平均水準より高くなっていることが明らかにされている。三省の生産年齢人口の増加についてみると(表1参照)、1964年までには生産年齢人口の増加より総人口の増加の方が著しかったが、1964年から生産年齢人口の増加速度は総人口のそれよりはるかに上回っている。それは、1950年代と1960年代の2回ベビーブーム期に生まれた子供が相次いで生産年齢人口にはいってきたことによる。他方において、1970年代以来計画生育政策の実施により、出生率が大幅に低下した結果、1990年に総人口増加率は著しく低下した。