中国の人口・食料及び農業開発の立場で見た持続可能な発展
吉林大学東北亜研究院
院長 王勝今
1. はじめに
持続可能な発展に関する研究は、既に国際的な科学テーマの先端的選択の一つとなっており、各国が発展計画を作成する場合に優先的に考慮する基本的準則の一つとなっている。
中国経済はめざましい発展を遂げているが、その基本的国情は、人口の耐えざる増加、限られている一人当たり資源、日増しに強化される生態環境の圧力、長期にわたって衰えを見せない発展の波動という状況の下で、中国的特徴のある持続可能な発展の道を歩まねばならないことを示している。人口、資源、環境、政策決定という「四位一体」の高度な整合性は、持続可能な発展の道の基本的核心を成し、人間と自然の関係の協調のカギとなるものである。
いわゆる発展とは、一つの自然―社会―経済の複雑なシステムの行動軌道であり、このベクトルは複雑なシステムをより均衡のとれた、より調和した、より相互補完の方向に進めていくものであると考えられる。この定義の中では、発展の不可逆性、広範性、及び自然―社会―経済に関連する複合性が強調されている。従って、この発展という術語の意味は、はっきりと「プラス方向」の有益なプロセスとして処理されており、それは異なった空間の尺度として、また異なった発展段階における経済形態と社会形態の健康度を診断し、検査し、仲裁する一つの基準とすることが出来る。そこで、筆者は中国の人口、食糧生産、農業開発の立場で、持続可能な発展について試みることとする。
2. 中国の人口、労働資源に関する事例分析
1. 人口総数の増大
人口問題は、中国の現代的発展の長期的制約要因である。中国においては、1950年代に工業化を開始すると共に、史上かつてない人口倍増の段階に入ったのである。推計によると、2000年の総人口は13億に達し、2030年には総人口は16.2億というピークに達する。