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上の説明から分かるように、水のもつ物理的な特徴(大きな比熱と蒸発潜熱)とその流動性によって、水は地球上の温度環境を均一化し、その地理的変化の幅を小さくしている。そして、生物の生存に適した地球環境の形成と維持に大きな貢献をしている。これは水が単なる資源ではなく、地球環境の形成要因であることを物語っている。それゆえ、水はまさに生物の生息地(habitat)そのものでもある。

 

3. 植物生産・食料生産と水

 

1) 自然植生の生産力と地球環境

植物生産は、地球上に生きる全生物の生存の源である。この原則は40億年に近い生命の歴史を貫いており、今後も作用し続けるものと思われる。それゆえ、植物生産の担い手―緑色植物群は全生物を過去から現在まで、そして未来へと物言わず担い続けてゆく『緑のアトラス』とよばれている。

この緑のアトラス(巨人)に全生物を担うフォースを与えているのは、約1.5 億kmの宇宙の彼方から地球へ絶間なく供給される太陽エネルギーである。そして、フォースの大小は次式で与えられる植生の純一次生産力(NPP,トン乾物/(ha・年))によって表される。

NPP=GPP-R (3)

ここでGPPとRは植生の総一次生産力と呼吸損失量である。

多くの実測データの処理および光合成活動のモデル的考察から、自然植生の純一次生産力(NPP)は次のモデルで評価できることが分かった(Uchijima・Seino,1985)。

 

 

 

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