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大気中の定常成分と温室効果ガス成分は太陽から地球へ入射する太陽光線に対して共に高い透過率をもっている。大気を透過した日射エネルギーは地球表面に吸収されて熱エネルギーに変換され、様々な仕事をしたあと、日射エネルギーより波長の長い赤外放射として大気中へ放出される。定常成分は赤外放射に対しても高い透過率をもっている。一方、温室効果ガス類は赤外放射をよく吸収し、そのエネルギーを自らの絶対温度(=℃+273.15)の4乗に比例する形で、赤外放射エネルギーとして放出する。

このために、地表上の気層内に温室効果ガスが含まれていると、入射する日射エネルギーの他に、温室効果ガスからの赤外放射エネルギーが付加される。そして、それに対応するだけ地表近くの温度が上昇してくる。これが大気の温室効果である。各温室効果ガスが現在の大気の温室効果にどのように寄与しているかが、表1に示されている。

表1にみられるように、約33℃の大気温室効果は大気中の温室効果ガス類から付加される下向きの赤外放射エネルギー(約155W/m2)によってもたらされている。そのほぼ2/3は大気中に水蒸気として含まれている水のためである。いま、世界的に問題になっている二酸化炭素(CO2)は約1/3に担っているにすぎない。大気温室効果への両ガスの寄与の違いには、赤外線域での吸収率の差も関係しているが、主要な原因は下のような両ガスの存在量の違いである。

大気中の水蒸気量   : 12兆4000億トン

大気中の二酸化炭素量 : 2兆6280億トン

上の説明から分かるように、地球表面近くの温度環境を生物の生存適域(0〜40℃)に維持するのに大きな役割を果たしている大気温室効果のなかで、大気中に存在する水―水蒸気は主導的な部分を担っている。

しかし、現在の地球温暖化のなかで大気中の水蒸気量の増減が問題にならないのは、大気中の水蒸気量が気温の関数であり、温度変化の結果として決まるためである。一方、二酸化炭素濃度は、人類による化石燃料の大量使用によって上昇し続け、直接的に大気温室効果を強め気温の上昇をもたらすために、現在世界的に大きな注目を集めている。

 

 

 

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