っていたが、以後10数年間は毎年増加し、登録里親は昭和37年に19,275人にまで達したのである。しかし、その後は里親数、委託児童数とも漸次減少の傾向を示し、委託児童数等は、最も多い時期の1/4以下になってきている。このような最近の減少傾向は、児童の絶対数の減少が最大の理由であるが、そのほか人口の都市への集中、家族形態の変容、住宅事情の変化等の社会構造、家庭生活様式の変化が大きな原因であると同時に、それに伴う、人々のものの考え方も、マイホーム的考え方の増大等と変化してきたことも大きな原因と考えられる。
これを、里親の職業別にみても、かつては農村中心であり、里親村とまでいわれた地区も存在したほどであるが、最近の傾向としては、常用勤労者(いわゆるサラリーマン家庭)が増加しつつあり、里親村等と呼ばれる地区の存在は極めて稀れとなってきている。
また、この委託児童の減少傾向に大きく影響しているものに、孤児等親がいないために措置される児童よりも、親がいても、その親に問題があったり、病気等で一時養育できなくなったために措置される場合が多くなったり、里親に児童を委託することに実父母の同意が得られないことなどにより、児童相談所における児童措置の姿勢等も影響しているものと考えられる。
さらに、里親自身の問題として考えられるのは、この里親制度が養子縁組を希望するものも包含しており、そのため、いわゆる養育里親と異り、児童のえりごのみをする場合が多く、また、上記のような児童側のニーズの変化に対応できずにいることも原因の1つと考えられる。
(2) 里親制度の改善
昭和23年里親制度の発足により、措置費として、児童の生活に必要な費用と里親手当が支給され、年々増額充実されている。里親手当は昭和39年度月額500円だったが、昭和47年度に1,000円に、昭和58年度