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ふれあい社会づくりグループ

 

「ふれあいネットワーカー」養成事業中間報告に向けて

 

9年度、10年度の2年間にわたる調査研究、モデル的取り組みを経て、11年度から「ふれあいネットワーカー」養成事業を展開していこうとするこの事業も、中間まとめに向かって、委員会やワーキング部会が目白押し。前号の特別版では、8ケ月間のご報告をしましたが、ここでは、その後のワーキング部会やボランティアさんたちの活動を中心にご紹介しましょう。

 

悩みに悩んで1歩ずつ

1月と2月だけでもワーキング部会が3回(1月14日公・民合同部会、1月30日ふれあいシール特別部会、2月14日公・民合同部会)と、基本理念を構想する委員会1回(2月23日)と会議が続いており、討議のための資料づくりも大変です。各界でご活躍中の多忙な委員のみなさんに貴重なお時間をいただいているわけですから、より積極的な議論をしていただくためには、そのタタキ台ともなる「ふれあいネットワーカーのビジョン素案」を作成する必要があります。また、当事者のニーズ調査に関しては、今回行った港区、世田谷区、町田市、習志野市の23ケースの聞き取り調査はプレテストであったために、足りないサービスを当事者サイドから浮き彫りにするニーズ調査の方向性をめぐって、新名、稲川、大塚、本間の4名は侃々謬々。打ち合わせ会議だけではなく、電話やファックスが各自宅間にも飛び交い、みなさんも悩みに悩み抜いています。「当事者サイド、市民団体サイドとは?」「ネットワーカーとは?」「財団と私たちが考えるネットワーカーとは違うのか」等々。

いつか、本誌の事務所だよりでも少し触れましたが、当財団は「ふれあいのシステム」づくりが目的です。ところが、このシステムづくりというのは、コンピュータのシステムをつくるのとは違って、すぐに姿形が見えるものではなく、ましてや成果がすぐに現れるものではありません。システムづくりとは仕掛け、仕組みづくりともいいますが、「ふれあいネットワーカー」は、地域社会を編集・再編する仕掛け人です。個別に当事者からニーズを引き出して連絡調整する、あるいは、足りないサービスをつくり出すといったことから出発するというよりも、もっと大胆に、さまざまなところと連携しつつ、連絡調整や足りないサービス創出の仕掛け・仕組みをつくろうとするわけですから、実は、わかっているようでわからない、ということにもなりかねません。ここらあたりが、研究会でも議論の的になるわけですから、その素案づくりも考え込まざるを得ないわけです。

ところで、Bチームのボランティアさんたちは、港区、町田市のマッピングに移り、現状のデータから見たエリアと連携状況の白地図への落とし込みも終わろうとしています。読者のみなさん、チャンスがありましたら、ぜひ、マッピングの力作をご覧になってみてください。つい先日も、港区役所の高齢在宅サービス課課長がマップを見てくださり、ちょうど作業中だった嵯峨野、佐藤、中山さんたちが苦心作の結果を見ていただいたことで、逆に感激していました。これって、すごく大切。なぜって、ボランティアさんたちにとっては、それが何よりの評価ですものね。

 

「ふれあいシール」特別部会

なお、「ふれあいシール特別部会」は、第1回の9月30日を皮切りに3回行いました。この特別部会の目的は、新規の大量のボランティアマンパワーのステージづくり(ボランティアがヤル気を満たされるような環境づくり)の一つの手法として、「ふれあいシール」(仮称)のあり方を研究するというもので、4つの団体(『シニアのための市民ネットワーク仙台』、『老人給食協力会ふきのとう』、『在宅福祉サービス団体預託連絡会』、コミュニティ・サポートセンター神戸』)に調査を委託。このワーキング特別部会における研究の大前提は、1. 個人のボランティア活動の記録を具現化するものであり、それが結果として評価につながるものであること、2. 組織体としては、さまざまなサービス提供主体間で、共通の連帯感が持てるものであること、3. ひいては、社会的評価につながること、といった3点です。このシールは、主に無償活動の分野に有効だと思われますが、既存の活動分野や概念に無理をして取り込むのは得策ではありません。3回の特別部会の結果として、個別運用はそれぞれの主体に任せて、ゆるやかな概念の中で、「実際にシールを使って、モデルケースとして試験的に展開をしてみたいしということになりました。その候補は、『WACアクティブクラブ』をはじめとする4〜5団体です。まだまだこの分野は未知ではありますが、さまざまな分野に無償ボランティアマンパワーが参画する一つの道具としての「ふれあいシール」、別名「ありがとうシール」とでも呼べばいいのでしょうか、その方向性を模索することは大いに意義があることだと考えます。(しかし、さてさて、この試験展開の事業予算は、どこから持ってくればいいのか、頭の痛いところではありますが・・・)。(奈良 環)

 

ふれあいシール特別部会名簿

川嶋 昭宣氏 連合 総合組織局 局長

佐藤 新哉氏 東京ボランティアセンター

佐藤 秀次氏 在宅福祉サービス団体泉北たすけあい 代表

住真 義重氏 御調町社会福祉協議会 事務局長

高畑 敬一氏 WACアクティブ・クラブ 会長

出村 和子氏 シニアのための市民ネットワーク仙台 会長

(代理出席/伊藤 寿朗氏 シニアのための市民ネットワーク仙台 副会長)

中村 順子氏 コミュニティ・サポートセンター神戸 代表

平野 真佐子氏 老人給食協力会ふきのとう 代表

ヘロン久保田雅子氏 タイムダラー・イン・ジャパン 代表

田中 尚輝 ワーキング部会コーディネーター/長寿社会文化協会理事

 

 

 

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