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ント)が必ずしも依頼人の意向に沿って実行するとは限らない。従って、依頼人は契約において、1]パフォーマンスに応じての報酬とペナルティーといった依頼人の要求を代理人が実行するインセンティブを盛り込む、2]明確な基準を設定し、代理人のパフォーマンスを監視する、といったことにより代理人のモラル・ハザード(倫理感の欠如)を抑制しようとすることが行われうる。

こうした理論的背景を基にしたNPMの特徴は、1]現場への裁量権付与と結果(成果)に対するアカウンタビリティ(説明責任)の要求、2]契約主義、3]公的部門を管理可能な単位へ細分化し、サービスを提供する主体とサービスを購入する主体とに分ける、4]競争・市場メカニズムの活用-等である。2]3]4]については、政策立案部門と執行部門とを分離し、政策立案部門は執行部門に裁量権、予算を付与することの見返りとして、パフォーマンスにおける目標設定とその達成を求めることから、この二者間に一種の「契約」が結ばれる。政策立案部門にとっては、自省庁の執行部門の提供するサービスが一定のサービス基準を満たした上で、最も低コストであるという保証がないため、可能な限り民間企業を含めた競争環境を設定することになる。従って、政府としては、行政サービス提供主体であるよりも行政サービスの購入主体としての役割が重視されることになる。

では、我が国の介護保険制度下でのNPM適用の可能性はどうだろうか?現在予定されている我が国の介護保険制度では、在宅サービスにおいては、営利企業にも参入を認め、都道府県の指定を受ければ、介護保険利用者をいかにして獲得するかといった事業者間での競争環境が確保されることになる。しかし、施設サービスにおいては、現行のままでは、自治体と社会福祉法人にしか特別養護老人ホームの運営が認められないことになっている。ただし、中央社会福祉審議会・社会福祉構造改革分科会の「社会福祉基礎構造改革について」(中間とりまとめ)の中で、社会福祉施設について、1]サービス供給体

 

 

 

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