年を取っても楽しく生きるためには今から何をすべきかを考えた
そもそも安福さんが、『ほっとステーション』を設立しようと思ったのは、テレビや新聞などで高齢化問題が取り上げられるようになり、将来に対する漠然とした不安を抱くようになったことがきっかけだという。
「我が家は、日本一の歓楽街として名高い新宿・歌舞伎町と隣接した都心のど真ん中にあるんですが、この辺りの住宅事情からして、子供たちが結婚しても一緒に住むことはむずかしい。となると、老いても自立して暮らしていかなければなりませんが、現実には地域にはまったく知り合いはおらず、仕事を辞めたら外界との接点の場がなくなってしまう。そんな不安もあって、年を取っても楽しく生きるためには、今から何をすればいいんだろうと考えるようになったんです」
とはいえ、福祉に関してはまったくの素人。知識も経験もない。そこで、同じ思いを抱く仲間に声をかけて勉強を始めた安福さんは、その後、中途半端な気持ちではダメだと仕事も辞し、さわやか福祉財団の研修会に参加したり、ホームヘルパー二級取得のための学校に通うなどして、福祉に関する知識や仲間を徐々に増やしていった。
そして、その過程で出した答えが市民互助型のNPO団体の設立だったのである。
「元気なうちから趣味や生きがいを見つけ、地域で仲間作りをしておけば寂しい老後を送ることもないだろうし、困ったときには自然と助け合うことができる関係も築けるはず。そのためには、まず、地域の拠点となるような場所をつくらなければと思いましてね。それで、在宅支援サービスと生きがい作りのサポートを二本柱とした団体の設立を決心したんです」