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「障害者の問題って普通に講演会やったら、結構動員されて人は集まります。でも動員されて来る人は理解のある人なんです。でもたとえば、米朝師匠と一緒にショーをやるとなると、落語を聞きたい人が来るわけでしょ?そういう人たちを前に師匠が私とふれあっている姿を見てもらうのは、障害者を知ってもらう上で大きな宣伝になると思うんです。理解者に理解してもらうだけではだめなんです。障害者のことなんて興味のない人も振り向かせたい。知ってほしいんです。その意味で各界で活躍している人に人寄せパンダになってほしいんです」

コンサート活動のマネジメントは宏さんの役割。仲の良いご夫婦である。しかし、しっかり互いに自立もしている。「介護については互いに面倒を見ないように話している」のだとも寿美子さんは語る。「主人が一生懸命面倒見てくれたら幸せやろうけど、私の面倒を見ることで自分のやりたい活動ができないなら、それは、つらいんです。二人だけの生活だけだったら、どちらか一人になったとき、さみしいやろうなあ。だから、やりたいことを一緒にやる仲間は大切なんです。迷惑かもしれんけど、私たちは他人を巻き込んで生きていくんでしょうね。主人の友達とか、私の教え子とか、地域の人とか、ボランティアの人たちとか」

やろうと思ったことは全部やる。「身を削ってでもやる」と宏さんに言わせるほどの寿美子さんの生き方。当然、助けを借りなければできないこともある。しかし、誰だって人間一人で生きているわけではない。間接的には多くの人に支えてもらっているはずだ。助けてほしいときには素直に「助けて」と声を出す。必要な助けを借りることと甘えることは違うのだから。

自分の夢を実現させていく人-。自他ともに認める梶寿美子さんの歩んできた人生は、まぶしく、そして力強い。

 

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ご主人の宏さん(右側)と。「あっちこっち足を引っ張り合うこともあって、二人四(・)脚かな(笑)」

 

 

 

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