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ですから、この制度においては、謝礼金というお金は介在しますが、労働契約における賃金というお金の性格とは違います。つまり、労働の対価としてのお金ではありませんから、設定する金額も、その地域のパートにおける最低賃金がいくらなのか、パートの平均賃金はいくらなのかを調べながら、事務費を除いた場合の謝礼金を設定するのが、本来的に望ましいあり方でしょう。

 

世界の「ふれあい切符制度」

アメリカには、「タイムダラー」という制度があります。これは、日本流にいえば、無償による「ふれあい切符制度」で、高齢者や低所得者層のパワーを社会づくりの資源として活用し、新しい価値観を持ったオルタナティブ(もう一つの)な社会をつくり上げようとして1987年から始まったシステムです。1時間を1点とし、助け助けられるというサービスの双方向性、会員間の点数による寄付を通じて、学生や若い人々の参加もとに、行政や企業、組合等ともネットワークを組みながら新しい形の地域共同体づくり、拡大家族づくりを目的として、全米43州で展開されています。また、イギリスやカナダにも広がっています。なお、日本では愛媛県越智郡関前村がタイムダラー方式を採用しています。

タイムダラーとほぼ同時期にカナダのバンクーバー島で生まれた「レッツ」という地域交換トレードシステムは、地域によって少しずつ形を変えて、イギリスやオーストラリア、ニュージーランドなど20近い国々に広がっています。このシステムも地域の助け合いの精神を基本とする労力交換システムです。

 

さらに、「ふれあい切符制度」は、謝礼金を介在して地域で支え助け合うという、愛情を「時間」に置き換えてリレーしていくシステムですから、これから「ふれあい切符制度」に参加する人々や団体は、お金

 

 

 

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