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しくは老人保健施設に入所しているのである。そのようなお年寄りが特別養護老人ホームの入所待ちをしているということは、医療ではなく介護を必要としている人々の多くが、医療系の施設に入所していることになる。さらに、ここでいう入院の場の多くは介護中心の療養型病床群である。このため、介護保険が導入されれば特別養護老入ホーム入所待ちのほとんどが、介護保険の対象となる施設に入所することになる。

見方によっては社会的入院の分類先が、変わるだけとも、取られかねない。その施設には、すでに介護も必要としない社会的入院が、先住している状況があり得ると考えられる。確かに介護認定により社会的入院を減らす力は働くものの帰る先もなく長く入院していた人の行き先がないことには変わりない。

また、療養型病床群に限ってみれば、平成一〇年九月一日現在、すでに七四二床(適正理論値四六八床)が整備済みである。療養型病床群が増えることは、社会的に望ましいことである。従来の病院は、長期療養に必要な設備が不十分であったため、入院患者のアメニティー面で大変弱い施設となっていた。しかし、療養型病床群はこれらの設備の面で、大きな改善があり、入院する患者さんやその家族からも喜ばれているところである。

しかしながら、この療養型病床群が、介護保険に入ってくるとなると、話は別である。基本的に医療系の施設は、福祉系の施設よりコストが高いのである。国の料金体系によれば、特別養護老人ホームは月二九万円で済むが、療養型病床群は月四三万円もかかる。人口二〇万人規模の標準的な町だと、療養型病床群一病床につき約一・五円の介護保険料の押し上げにつながる。

 

 

 

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