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ここが問題

 

 

介護保険で社会的入院はなくなるか?

佐世保市保健福祉部長 今村 知明

 

介護保険のキャッチフレーズの一つは「施設介護から在宅介護へ」。その目的の中に、いわゆる社会的入院をなくすことを含んでいるが、果たして、それは可能なのか?市町村の地形、住民の意識および病院の経営方針などによっても必ずしも、その前途は楽観できない。長崎県佐世保市の場合は社会的入院については医療保険の適応から介護保険への適応に変わるだけで、実体としての社会的入院がなくなるのかどうか懸念されている。このような現象は全国各地で起こりそうだ。

かつて軍港として栄え、戦後は作家、村上龍を生んだ町である佐世保市は坂のある町である。面積は二四八・二九平方キロメートル。その地形はリアス式海岸の溺れ谷で天然の良港を有している反面、背後に鳥帽子岳(五六八メートル)や弓張岳(三六四メートル)がそびえ、山が海岸線付近まで迫っているため、人口の密集する地域の大部分が傾斜地となっており坂道が多い都市である。

 

 

 

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