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活福祉センターが池川町と吾川村に整備されているのも西仁淀地域の特徴である。

生活福祉センターは過疎の山間地に住むお年寄りの家庭外での活動と交流を目的に設けられているものである。特に吾川村の「明神ランド」は共同浴場を併設することによって地域の元気なお年寄りも利用しており、ここでは介護を必要とするお年寄りと元気なお年寄りが自然に知り合い、その中から元気な者が介護の手助けをするといった助け合いのボランティア活動も生まれている。

また、池川町には地理的に厳しい環境にある集落に住むお年寄りのための移住先として高齢者向け公的賃貸住宅"シルバーハウス"「月美荘」も整備されており、現在、二世帯が入居している。医療機関や在宅介護サービスと連携したシルバーハウスの整備は、高知県がこれから推進する高齢者福祉の中心に据えている施策でもあり、その点でもここの取り組みは注目されている。

西仁淀地域は高齢化の進行が早く、地理的にも恵まれない環境にあるが、そうした中でも"社会的入院"といわれる医療機関での長期入院が比較的少ない。それは、デイサービスや生活福祉センター、シルバーハウスなど生活空間と在宅介護サービスを組み合わせた複合的なサービスが提供されているためであり、これらのサービスに介護公社が中心となって広域で取り組んできた結果だろう。

 

よりよい広域介護を進めるために

平成十二年からの公的介護保険の開始に合わせて、広域で認定作業を行う認定審査委員会もすでに三町村で組織している。認定作業の一本化とともに、今後はサービスの一元化をいっそう進めることがここの課題である。

設立当初、広域で介護に取り組むとはいっても、各町村ごとの住民のニーズの違いや、行政のカラーの違いもあって、サービスの一元化は簡単なことではなかったという。これは介護公社の最高決定機関である理事会が各町村長や助役らで構成されており、協議の場で各町村の利害の調整に手間取ったことも一因であった。

 

 

 

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