山道を下って次に訪間したのは酒屋を営む谷脇さん宅。奥さん(六八)がリウマチを患って寝たり起きたりの生活を送っている。奥さんの楽しみは週二回、ヘルパーの介助で入るお風呂だ。片岡さんは居室と居間の掃除のあと、奥さんの指示で着替えを揃えて入浴を介助、滞在時間は二時間半だった。
介護公社のホームヘルプサービスは三六五日体制で、ニーズがあれば夜間、早朝にも対応する。平成九年度のヘルパーの派遣実績は、西仁淀全体で延べ一万三八七六回、ヘルパー一人当たりの年間の派遣時間は九三五時間、一日の稼働時間は三・五九時間であったが、派遣の内容は家事援助が多く、一人暮らしのお年寄りの安否確認のための訪問も含まれている。
「この地域は訪問するお宅が一戸一戸離れているので、移動時間がかかるんです」と片岡さん。派遣時間が短くなるのはそのためでもあるが、効率よく回り、訪問回数をさらに増やしていくために、平成十年三月からは記録業務を省力化する情報システムを導入している。片岡さんが「モバイル」と呼ぶ電子手帳がそれだ。
これは(株)シナジーがソフトを企画・開発したシステムで、ヘルパー全員が携帯して、家から家へと移動する途中で、利用者と援助内容、滞在時間などを入力する。このデータをヘルパーステーションに戻