人口は三町村合わせて八八六三人、そのうち高齢者人口は三三三四人で、高齢化率は三七・六%。三町村の中でも特に高齢化率の高い池川町は四二・三%で、二〇〇〇年には五〇・五%になる見通しだ。高齢者世帯の五五%が一人暮らしである。
一方、介護の担い手である三〇歳から五九歳までの年齢層の人口はすでに高齢者人口を下回っており、家庭の介護力はますます期待できなくなっている。
こうした状況を先取りして、三町村が協力して地域のニーズに合った在宅介護サービスを提供しようと取り組んだのが介護公社の設立である。三町村はそれまでにもゴミ処理や消防、入浴サービスなどの事業を共同で行ってきた。社会福祉協議会が移動入浴車を共有して入浴サービスを行っているのに注目した県の高齢者対策室が、介護公社の設立を提案したのが直接のきっかけだった。
当時は公的介護保険はおろか介護という言葉さえ今ほど一般的ではなかったが、県下の広域介護の第一号として、折からスタートした県の「ふるさと定住促進モデル事業」に介護公社の設立が採択された。平成五年のことである。
介護公社がめざしたものは、より質の高い公的介護サービスの提供と、介護マンパワーすなわち「職」の確保と若者の定住促進である。設立に当たって、平成五年度から七年度までの三年間に六億円(県から三億円、三町村から各一億円)の基本財源を積み立て、基金の運用益を公社の運営費に充てることにし、ホームヘルパーの待遇を公務員並みにした。
事業内容は訪問入浴事業、ホームヘルプサービス事業、デイサービス事業の三本で、在宅介護支援センターは町村ごとに置かれている。ヘルパーは常勤一〇人、パート十一人の二一人体制で、常勤の全員が一級の資格を持ち、介護福祉士やケアマネージャーの資格を併せ持つ人もいる。
電子手帳を携帯するヘルパー
常勤ヘルパーの片岡百合子さん(三八)に付いて家庭を回り、ホームヘルプサービスの様子を見せてもらった。片岡さんが