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福祉機器を活用し介護の負担を減らそう

 

ヘルパーの仕事は重労働ですが、男性ヘルパーは少ないですね。

日本人は介護機器をあまり使わないですね。介護人がすぐに手を出します。松葉づえや歩行器にしてもいろいろな長さのもの、体重をかけられるものなど何十種類もあるのです。それを使えばずい分楽になるでしょう。福祉機器の宣伝がうまくないのでしょうか。

高齢者をベッドから車イスに移すのに、福祉機器を使うと、確かに時間がかかります。機器は安全第一主義をとっているからです。そうなると介護に時間がかかり、スペースも取るため、人手も費用もかかってしまうという問題があります。

お年寄りが一〇人以下で生活するグループホームだと、高齢者二人に対しヘルパーが一人くらいいますから、ゆっくりと移すこともできますが、五〇床、一〇〇床もある所は、そうはいきません。朝、一斉に「六時です。おはようございます」と言われると、起きざるを得ません。国はこうした大型施設を続々と作ろうとしています。私は「スモール・イズ・ベスト」だと思っています。

 

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松山さんご自身も身辺に介護問題があったとか・・・・・・。

一〇年前、横浜に住む父が八八歳になった時、長年世話になっていたお手伝いさんが亡くなったのです。父は私たち五人の子供を集めて「俺をどうしてくれるんだ」と言いました。札幌にいる弟や大阪の妹が、引き取ってもいいと言いましたが、父は「誰かここに来い。引き取られるのはいやだ」と言うのです。明治生まれの男には威圧感がありました。

実際、自分の年金などで生活は一応自立しているし、老人は長く住み慣れた所から離れるのは怖いのです。結局家政婦さんに交代で来てもらいました。

 

 

 

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