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喜・涙・笑 ふれあい活動奮戦記

 

 

心のふれあいを大切にしたいから広く薄くよりも一人ひとりときちんとかかわる支え合いをしたい

福祉ボランティアグループ『ふれあいネットまつど』(千葉県)

 

都心から約一時間、首都圏のベッドタウンとして栄える干葉県松戸市で在宅介護サービスを行っている『ふれあいネットまつど』の事務所に到着。"ふれあいの家"と書かれた看板に導かれて小道を進むと、目の前に現れたのは広い庭付きの日本家屋。小春日和の陽気に誘われてだろうか、協力会員と一緒になって庭いじりをしているお年寄りがいる。家の中には、習字を楽しむ人、それを穏やかな表情で見つめる人…。その姿を見て、案内役を買って出てくれた副代表の船見富美子さんが思わず、「まあ〜」と歓声を上げた。

「彼女はぼけが進んでしまって、もう、字は書けないと家族の方は思っているはずなの。でも、昔はとても、お習字の好きな方だったと聞いていたので、機会を探っていたんです。でも、本人がその気にならないと、ダメでしょ。ねえ、どうして彼女が書き始めたのか、その経緯を教えてちょうだいよ」と、やや興奮した口調でそばにいた協力会員に話しかけ、「それにしてもまあ、ホントに…」と、その後は声にならない。そしてカメラを持って来て、「ご家族にも見せてあげなくちゃ」と、その姿をパチパチと写す。船見さんの目は心なしか、潤んでいるようにも見えた。

 

 

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「ふれあいネットまつど」の事務所とサロンに使われている"ふれあいの家"

 

 

 

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