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かしいと思う点はどんどん所轄庁に働きかけ、市民団体の実態や活動を理解させていくという姿勢を持つ市民・市民団体が数多く存在することしかないと思うのだが、どうだろう。

そこで、当財団では、芸術文化振興連絡会議、市民活動を支える制度をつくる会(シーズ)、長寿社会文化協会と共同で、経済企画庁との意見交換を行った。

こうした制度は使いこなさなければ、改善されてはいかない。そのためにも先駆的な役割を果たすNPOが、「手続きが面倒だから、もう申請をあきらめよう」といった後ろ向きな行動に出たり、ましてや所轄庁の対応ぶりに振り回されて、迎合していくことであってはなるまい。また、実力のある市民団体がNPO法人格を取り、NPO活動を活発に行っていくことによって市民自治という新しいシステムを社会に根付かせることができるだろうし、大きく世論を巻き込みつつ、税制上の優遇措置を制度に盛り込めるように働きかけていく必要もある。

ところで、十二月一日から本年一月八日までの一カ月間のNPO認証申請受付は、全国で一九〇件ほど。その少ない理由を、経済企画庁国民生活局余暇・市民活動室の小林裕幸室長はこう話っている。

「第一の理由は、法人化の方向はだいたい決めていても、必要な書類の作成や総会等の手続きが済んでいない団体が多いこと、第二の理由は、他の団体の様子を見て法人化するかどうかを決めたいと考える"様子見の団体"も多いとみられることにある。これらの団体は、今後、順次申請を出してくるであろう。また、そもそも法人格を取ることの必要性を感じていない団体も実際には多い。いずれにしても、団体にはそれぞれ事情があるし、早く申請を出した団体がえらいというわけではないので、短い期間での数の多少を議論してもあまり意味はないのではないか」。

また、小林室長は、全国で法律の内容を説明した際の印象を次のように述べている。

「経済企画庁の主催した法律の説明会に出席したボランティア団体の方々の中には、説明を聞いて戸惑いの表情を見せる人が多い。おそらく、自分たちが想定した法人のイメージと、制定された法律の中身にギャップがあるのであろう。一方、都道府県の職員の側にも戸惑いがある。この制度が全く新しい制度

 

 

 

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