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全米で一万二〇〇〇人が活躍。施設の立ち入りも自由

介護オンブズマンは、一九七二年にスタートし、一九七八年には米国高齢者法に基づいて、すべての州で設けられた。運営方法は州によって異なるが、一般的には、1]州全体を統括するオンブズマン、2]各地域を担当するオンブズマン、そして3]各施設ごとを担当するボランティアのオンブズマンと三種類に分かれる。1]と2]を合わせて全米で八六五人。3]を加えると約一万二〇〇〇人となる。

資格要件は州によって異なるが、1]と2]については、比較的厳しく、「ソーシャル・ワーク、社会学老年学等の分野で学位を有し、権利擁護、高齢者問題等の分野で二年間以上の経験を有する」とか「看護婦の免許を有し、かつ、介護、老年学等の分野で二年間以上の経験を有する」など(メリーランド州の場合)となっているが、3]については、数十時間の事前研修と定期的な事後研修のみとなっており、情熱を持つ人々であれば、決してむずかしいものではない。

また、介護オンブズマンは、州政府に直接所属する場合もあるが、州が日本の社会福祉協議会に相当するような非営利団体にオンブズマン業務の運営を委託するケースもある。

常勤のオンブズマンは、州全体や特定の地域を管轄し、管内の施設を訪問し、苦情を聞き、調査し、施設に改善を促したり、重大な問題を発見した際には、施設の許可など規制を担当している部局に連絡を取り、適切な措置を促すなどの活動を行っている。これに対し、ボランティアのオンブズマンは、オーウェンさんのように通常、施設単位で任命され、担当する施設を訪問し、苦情を聞き、調査し、施設に対して改善を促す。手に負えない案件の場合には、州や地域のオンブズマンに連絡し、対応を求めることになる。

 

 

 

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